時をかける商魂 ~二条光。平安を洗え!十二単クリーニング開業

奈良まさや

第1話

時をかける商魂 ~二条光。

平安を洗え!十二単クリーニング開業


【人物紹介】


**二条 光(にじょう・ひかる)17歳**

名門・二条財閥の次男。都内の私立・青苑学園高等部2年。成績は悪くないが、勉強や部活にはほとんど興味なし。好奇心と金儲けには誰よりもアツい。幼少期からタイムトラベル技術を”家業”として見聞きしており、歴史に対して「情緒」ではなく「マーケット」としての興味しか持っていない。口癖は「古くて暑苦しいもんは、だいたい儲かる!」


**平安時代の登場人物**


**清原 小式部(きよはら の こしきぶ)24歳**

中宮の女房。清原氏の血を引く教養深い女性。和歌にも優れ、几帳面で責任感が強い。十二単の管理にいつも苦労しており、光の洗濯技術に最初に目をつけた。光に対して最も深い愛情を抱くようになる。


**藤原 桔梗(ふじわら の ききょう)22歳**

右大臣家の娘で、宮中一の美女と謳われる。好奇心旺盛で新しい物好き。セグウェイに一番最初に飛びついた。活発で明るい性格だが、意外と計算高い面も持つ。光の革新的なビジネスに強い関心を示す。


**橘 夕霧(たちばな の ゆうぎり)26歳**

内裏の女房頭。落ち着いた性格で、宮中の女房たちの相談役。光の「パパ活セミナー」のアイデアを一番最初に提案した知恵者。経済観念に長けており、光のビジネスパートナーとして活動する。


**源 若菜(みなもと の わかな)19歳**

天皇家の遠縁にあたる若い女房。純真で素直な性格。光の現代的なサービスに最も感動し、彼を慕うようになる。涙もろく、感情豊かで、光を「未来の君」と呼んで慕う。


**朝廷関係者**


**藤原 実頼(ふじわら の さねより)45歳**

朝廷の風紀を司る役人。生真面目で伝統を重んじる性格。光の革新的すぎる取り組みに眉をひそめ、最終的に逮捕状を発行する。


【世界観・バックボーン】


**二条財閥とは?**

日本を代表する巨大コングロマリット。表向きは不動産や重工業、ITを手がけるが、裏では「時空商社N-TEC(エヌテック)」を運営。極秘裏に確立された時空転送技術により、過去の世界に社員を送り、軍事・医療・資源・文化財などに干渉して稼ぎまくってきた。


主な実績:


- 戦国時代 → 鉄砲・黒船輸入

- 江戸末期 → ペニシリンの投与で幕府要人を”延命”

- 明治初期 → アメリカ西部で原油採掘


ただし、「未来人の介入は非公式であるため現地民に正体を明かしてはならない」「あくまで歴史の”影”で動くこと」とされている。


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第一章


二条家の地下に広がるタイムコア室は、まるで秘密基地のようだった。夏の午後の静けさの中、近未来的な機械群が規則的な稼働音を響かせ、壁一面の巨大モニターには様々な時代の歴史が映像として流れている。その中心で、二条光は慣れた手つきで端末を操作していた。


「戦国は鉄砲に薬、江戸も薬か……じゃあ平安は何が儲かるんだ?」


光の視線が、モニターに映し出された平安時代の宮廷女性たちに吸い寄せられる。十二単を幾重にもまとい、優雅に、しかしどこか息苦しそうに佇むその姿を、光は目を凝らして観察した。十二単の映像をズームアップする。豪華絢爛な絹の布地、重なり合う襟元、わずかに滲む汗の跡。


「これ、洗濯どこでしてんだ? 重ね着に次ぐ重ね着、絹、汗、重さ……」


光の目に、突如としてビジネスチャンスの光が宿った。


「そうだ、クリーニング屋だ! しかも、宅配式で。古くて暑苦しいもんは、だいたい儲かる!」


天才的なひらめきに、光の顔には確信に満ちた笑みが浮かんでいた。

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