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斉藤 杏

第1話  母

 おはよう

今日も母は帰ってきていないようだ。

もう8日くらいになる。

普段は長くても一日しか家を空けないような人なだけに、何かあったのかと心配になる。

私もこのまま家にこもっているわけにもいかないだろう。

家を出てみることにした。

前に一回、母と一緒に動物園に行ったことがある。そこに向かってみよう。もしかしたら母がいるかも知れない。重い重い扉を二枚押し開けたら、そこにはどんよりとした曇りの空が広がっていた。1人で外に出るのは初めてだ。


 前にここにはきたことがある。確かこれは”信号機”というものだ。


「赤だったら進んじゃいけないよ。青に光ったらここを渡ってもいいってこと。」


そんなことを言っていた。だけど今は何色にも光っていない。これは渡ってもいいのだろうか。そうか、”信号機”のないところを渡ればいいのだ。盲点だった。

母からいろいろなことを教わった。

食事の仕方や、部屋の片付け方、天気、挨拶、歩き方、言葉、生き方。

あげたらキリがない。


“信号機”から少し進むと街にでる。前に来た時と少し変わっている。

前は綺麗だった建物が、ところどころ崩れたり、ガラスが割れたりしている。

車もいない。いや、いることはいるのだが動いていない。

動かせたら便利だろうな。だが動かし方がわからない。まあ、そこらじゅうに転がっているのだし、今度試してみよう。さて動物園に着いたようだ。


 動物園に入る時にはお金を払わなければならない。幸い私は母にもらったお金を持っている。チケット売り場に人間がいないが、お金を置いて入れば問題ないだろう。


 動物はほとんど寝ていて動いていない。”ライオン”がいないがどうしたのだろう。

いや、そんなことより母を探そう。

動物園に入ってからいままで、というか、家を出てから一度も人間を見ていない。

前来た時はたくさん人間がいたのだが、不思議である。


 どのくらいだろう、かなり長い時間ここにいた気がする。日が落ちてきた。

隅々まで探したつもりだが母は見つからなかった。それにしても今日は虫が多いな。



 「バッテリーの残量が少なくなってきています。充電してください。」



しまった。忘れていた。充電しなければ。今日は一旦帰ることにする。


 やはり家は安心する。もうバッテリーが残り少ない。

私は新型だからワイヤレス充電に対応しているのだ。背中と充電器を合わせるだけで良い。ハイテクだろう?

充電中はシャットダウンしていなければならない。

明日は、母が帰ってくるといいな。

では、

   おやすみ




 ある情報を手に入れた。戦争中の隣国が、えげつない生物兵器を作ったらしい。

人間と雀の細胞だけを破壊するものだ。なんで雀やねん!って感じだよね。

ん?あ、これ言っちゃいけないんだった。今のナイショでお願いします。

 話変わるけど最近面白いものを手に入れた。知識は最低限も最低限。自分で歩けもしない。マジで赤ちゃんみたい。自分で教えて育てていく人工知能ロボット「コネクト」。まだ試作段階だから世界に数台しかない超レア物!それとなぜかワイヤレス充電に対応している。安全面で問題があるから一般販売はまだらしいね。私は今日からこいつを育てながら生活をする。非常に楽しみであります。

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