⑤ SIDE: ユウ
友人に肩を揺すられて、目が覚めた。見渡してみると、そこは学校の体育館だった。知らずのうちに眠っていたようだ。
「教室に戻るんだってさ。遅れるよ?」
彼女はそう言いながら、私の顔を覗き込んだ。私はまだ呆然としていて、言葉が出てこなかった。思考にはまだモヤがかかっている。意識は徐々にクリアになって来ても、困惑は深まるばかりだった。
私はハッとして周りを見渡す。みんな、みんないる。同級生や先生方が視界に入って、心底ホッとした。ああ、良かった。全部夢だったのか。それにしても、リアルだった。じゃあ、弟も、品川先生もみんな無事なんだ。
安心する反面、こっちが夢だったらどうしようと思って、私は自分の頬をつねるのが、恐ろしくてできなかった。
「もー、ほんとに何してるの!」
友人は、私が寝起きでボーッとしてるとでも思ったのだろう、ぐいぐいと腕を引っ張った。しぶしぶ立ち上がる。
セミがうるさく鳴いていた。体育館は空調が効いておらず、蒸し暑かった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます