第4話 沈黙が語る
カシワバラ直下で働くようになってから、ミナトとは度々同じ仕事を任されるようになっていた。
これと言って理由はないようだが、オヤジにしてもカシワバラにしても、おれとミナトが『
ならば一緒に使おう、と。
「それでいえば、なぜあなたが『
「どういう意味だ?」
「そのままの意味ですよ」
その日もある組織との『交渉』に向かう途中だった。
オヤジの仕切っている地区内に新しい店を構えようとした新興の中小組織があり、「みかじめ」という名の『金品納入ご契約』を交わしに組織のものが向かったが、5日経っても帰って来ず、現地では居抜きの建物の改装を始めようとしているらしく、 うちの構成員がまだ御厄介になってちゃあ申し訳ねえんで『ご挨拶』に行ってこい、というわけで、おれとミナトが向かっていた。
移動中の車の中、自動運転システムに目的地を告げた後、後部座席でおれとミナトは話し始めた。
「あなたの言う通り、トーキョーに犯罪組織はごまんとある。別にオヤジだけが狙われているわけでもないし、実際に組織のトップが『亡霊』に殺害されて崩壊した組織もたくさんあります。なのになぜ、オヤジが狙われることの理由に拘るんです?」
「『亡霊』本人に言われたから、といったら少しは考えるか?」
おれと同じ黒い
「『亡霊』に会えたんですか? 言葉を交わした?」
「あの襲撃された夜にな。挨拶に行く、って言っただろ」
「それで、『亡霊』はなんて言ったんです?」
「考えろ、と」
「考えろ。なるほど」
「やつの目的は『
「なるほど……」
ミナトはそれ以上何も言わなかった。何も言わなかったが、その空白が何かを語っているようにおれには思えた。
「お前、オヤジの組織が何をしているか、知ってるんじゃないか? 『亡霊』に狙われるような何か……」
「どうしてそう思うんです?」
「お前がこの組織で『強化』になった理由も、同じなんじゃないかと思うからだ」
おれの言葉に、ミナトは無言のままおれを見るだけだった。長い前髪の下、おそらくはおれを見つめている瞳。それがどんな色をしているのか。動揺しているのか、呆れているのか、あるいはまったく別の感情が色づけているのか。何もわからないまま、沈黙が車内を支配し、それは目的地に着くまで続いた。
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