第21話『ネクスト』
「おれが狙撃したのは『
仲間。
そう問われて、返す言葉がなかった。仲間、という意識はない。ミナトによって持ち込まれた厄介事の果てにいまがある。『強化』されることを望んでいたわけでもない。だから組織の長であるオヤジに、『強化』されたことを感謝しているはずもない。
「仲間、というのとは違う。ただ情はある。目の前で一方的に撃ち殺されて行くやつを助け出す力があるなら、それを使えとおれは育てられた」
「いい親だな、こんな時代に」
「この時代だからだろ。『
おれに突き付けられた黒い孔がわずかに揺れた。ほんの数ミリの微動だが、所持者の動揺を伝えるには十分な揺れだった。
「お前、下層の『非強化』だったのか?」
「つい最近まで」
「お前を育てた親は、グレイか?」
「なんであんたがジジイを知ってる?」
「古い付き合いがあった。『戦争』の頃から」
ジジイが言っていた。『戦争』の頃に『非強化』を守って戦った
だからおれはこの
ジジイが言っていた、『ネクスト』という存在に。
「おれがあんたの馴染みのジジイに育てられたことは、この状況に何か影響するか?」
「……というと?」
「あんたは亡霊になってこの街を見守ってる、ってのがこのトーキョーの都市伝説だ。やりすぎた『強化』はあんたに憑り殺される。でもあんたは七同盟を殺った後も復讐を続けているだけだ、っていうやつもいる。『強化』を根絶やしにするまで、あんたは銃を置かないし、『強化』の頭は弾け飛び続ける。そしていまのおれは『強化』だ。あんたの目的は何なのかな、と思ってね。もし後者なら……」
おれはクールダウンを終えた『
「身内の情でもかけてもらえるのかと。……死ぬのは嫌なんでね!」
亡霊の前で『隠密』を解いたのはクールタイムを稼ぐためだ。おれにとっての唯一の武器は攻防一体。しかも稼働時間が限界を迎えている様子がある。何度も放つことはできない。確実に当てるには、不意打ち以外にはないと踏んでいた。
声と共に右腕を伸ばす。その手の先から、電流が迸る。ほとんどゼロ距離での放出。
だが、『亡霊』は、ネクストは、やはり反応速度が尋常ではなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます