薔薇と野の花

　華やかな薔薇の花しか魅力を感じない男性Aがいた。彼に「可憐なクローバーの花やたんぽぽの花の魅力も分かってください」と別な人Bが言った。

　Aは聞き入れなかった。だが、道端や空き地の花を踏みつぶすことはしなかった。

　それでもBはあきらめられずに、何とかして魅力を分からせようとした

ある時点でAは、クローバーやたんぽぽのような可憐な野の花の魅力を理解した。それでも薔薇が一番であるには違いなかった。Bは不満を持ち、薔薇への妬みは消えなかった。

季節はめぐり暑い夏が来て、野の花は枯れてしまった。枯れた花々をAは踏みにじった。もう魅力を感じなかったからだ。

終わり