第3話引かれる重さ
菱愛が口内からバームクーヘンが無くなると抗議の様な愚痴を吐いた。
「窒息するかと思ったし、火傷したらどうするのさ。加減ってものを——」
パンっと物音が響き、頬を叩かれた彼女が睨んできた。
「……叩かなくっても」
「ペットが抵抗してきたから躾をしたの。不満かな?」
「ご、ごめんなさい。あのさ、那波多さんはどこまでやらそうって思ってるの?それだけ……教えてくれる?」
「裸にさせることは決まってる。嫌……かな?」
飼い主の様な態度で発した。
「は……裸、ね。今日はさすがに無理だけどゆくゆくはね……見せてもいい」
四つん這いの体勢で発するのは恥ずかしい言葉だったらしく身体を揺らした彼女だった。
「今ぁ……最高に興奮してるんだ、私ぃ。萌葉を四つん這いにさせてるの、楽しい。もっと遊びたいなぁ!」
「変態だね、那波多さんって。そろそろ四つん這い辞めていいかな?」
「えぇ〜もうぅ?わかった、もう普通に座って」
「ありがとう。那波多さんって何をしてるときが一番楽しいの?」
「そうだなぁ……菱愛さんにアレやコレやを命令してどんな反応するかを妄想するのが楽しいよ!オナニーをするのか……するならどうやってしてるか、どっちのタイプか……とかとか、ねっ!?」
膝と膝が触れ合う距離で座っているのに顔を近づけた。
「そっち方面はわかったから……他のことは?」
「他のことだと、音楽を聴くことかな。菱愛さんは何が趣味なの?」
「私はね——」
会話を一通り交わし終え、引き上げようとする菱愛だった。
「ちょっもう終わらそうとしてる?まだ居たいよ、菱愛さんとぉっ!!まだ居たいよ!」
「明日も会えるんだから、今日はもう帰ろう?明日も付き合うから今日は帰って!」
私が彼女の右腕の手首を掴み、振り払われるのを拒んだ。
私は彼女からの強制帰宅の勧告を受け、渋々帰宅することにした。
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