第2話叶う願い

 私は彼女に菱愛家に連れてかれ、上がらせてもらった。

「ただいま」

「お邪魔しまぁす」

 私はスニーカーを脱ぎ、出されたスリッパを履き、背後について行く。

 私は彼女に続いてリビングに脚を踏み入れた。

「飲みたいもの、有ったら遠慮なく言って」

「そんなっ水やお茶でお構いなくっ!」

「じゃあ、アールグレイでも淹れるよ。2階に上がって、ネームプレートが下げられた部屋で待ってて」

「あぅっ……はぁい」

 私は促されるまま、階段を上がり、菱愛の名前が彫られたネームプレートが下げられた扉の前で深く深呼吸をして、ドアノブに手を掛け、開けた。

 私が脚を踏み入れ、部屋を見渡し、ラグが敷かれた位置まで歩み、通学鞄を置いて、脚を折り曲げテーブルの前で正座をした。

「此処が菱愛さんの部屋かぁ……小説が多いな」


 私は洋菓子とティーカップを載せたトレーを運んできた彼女が姿を現し、正面に座られ、緊張した。

「お待たせ、那波多さん。正座なんていいから脚を崩してよ」

「あぁ、はい……」

「那波多さんの頼み、保留にしたいとは言ったけど、別に構わないんだ。ペットにしたいならそれなりの態度できてほしいんだ。出来る?」

「します!させてください!」

「うん、そう!それだよ。じゃあ、してくれ!」


 私は通学鞄から首輪を出し、彼女に見せつけ、低い声で命令した。

「萌葉、首を出しな」

 私は彼女に近付き、膝を触れ合わせた距離で、彼女の首に首輪を嵌めた。

 彼女が首輪のベルトを撫で、嬉しそうにはにかんだ。

「那波多さんにペット扱いされるなんて、想像しなかったよ。したいように命令して……してください」

「じゃあ四つん這いになって。バームクーヘンを食べさしてあげる」

「うん」

 菱愛が躊躇なく四つん這いになって、見上げてきた。

 私はバームクーヘンの袋を開け、彼女が口を開けており、奥まで詰め込んで口を閉じさせた。

 咽せた彼女に無理矢理、アールグレイを口を開けさせ、注いだ。

 彼女は苦悶の表情を浮かべ涙を流した。


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