これは貴女の首輪でしょ
木場篤彦
第1話断られる頼み
「あのっ……菱愛さんに……頼みたいこと、あって」
「えっ!あぁ那波多さん……どうしたの?」
「此処じゃ言いにくくて……」
「そう……じゃあ——」
彼女の周囲に群がっていた女子生徒達に手を合わせ、断りを入れ、教室を出てくれた菱愛。
「ありがとうございます……」
私はか細い声で感謝を述べ、ついて行く。
廊下に出て隣を歩く私に会話を続けた。
「何処で話そうか?」
「人気のない空き教室が望ましいです」
「分かった……」
何やら察した表情を見せる彼女だった。
空き教室に脚を踏み入れた私達は、扉を閉めて、彼女から口を開いた。
「で……なにかな、頼みっていうのは?」
「これ……なんですけど、分かりますよね?」
「チョーカーじゃない……首輪だね?それをどうしたいわけ?」
私は彼女に首輪を見せた。
「菱愛さんに首輪を嵌めてもらって……お願いをきいて貰いたくて。ダメ……ですよね?」
「まぁ、普通なら嵌めるなんて言わないよ。誰かのペットみたいな扱いは許容しにくいもんだよ」
「ですよね……」
「私じゃなきゃ駄目なの?それって」
「はい……以前から菱愛さんに首輪を嵌めてもらって、ちょっとしたことをして貰いたくて」
彼女からしたら屈辱的な行為でしかない。
「そう……時間をくれるかしら?今日のところは保留で。良いかしら?」
「はい……難しい事を頼んですみませんでした」
私は正面に佇む美少女である菱愛に深く頭を下げて謝った。
「教室に戻りましょう」
歩み出した彼女の背中を追い、空き教室を出て教室へと戻った。
放課後になると菱愛から声を掛けられた。
「那波多さん、一緒に下校したいのだけでいいかしら?」
「えっ!?あっはい!光栄です」
菱愛が歩み出し、教室を出て行くのを一拍遅れで椅子から立ち上がり、追いかけた。
私は彼女の隣を歩くのに気が引け、背後を歩いていく。
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