第32話 不思議な王子様。

「僕が第一に考えているのは兄上ではなく珠子様のことですよ」

ルイ王子が素敵な笑顔で言ってくるが、全く信用できない。


「このようなことを言っては失礼ですが、ルイ王子の言葉はあまり信用できません。本物のイザベラのことも愛していなかったのに、愛しているふりをしていましたよね」


私はルイ王子に好かれたいので、あまり彼を非難するようなことは言いたくなかったが彼に私を好きなふりをさせるのは嫌だった。


「確かに珠子様の言うとおり、イザベラのことは愛していませんでした。でも、珠子様のことを愛する気持ちは本当なので伝わるまで伝え続けますね」


窓の光が差し込んでルイ王子の金髪がキラキラ光っていて、彼の美しい瞳にとても可愛いイザベラが映っている。

私はふとレナード・アーデン侯爵を思い出した。


彼も明らかに本心ではないことを言って、相手を翻弄していた。


「ルイ王子、もしかして惑星プリンスから転生してきたりしていませんか? 」


私は気がつけば謎の質問をルイ王子にしていた。

でも、彼は12歳と言うには精神が成熟しすぎている上に、レナード・アーデン侯爵と出荷元が同じ気がしたのだ。


「転生してきてはいませんよ。レオ王国生まれのルイ・レオですよ」

私の変な質問に驚きもせず、余裕で返してくる。


「それとも地球の日本から転生しましたか? 私は自分のいた世界の言葉をルイ王子の前で使っていますが、いつもしっかり理解してくれてますよね」


私が手信号と言ったらその意味と意図を汲み取ったり、いくら優秀でも日本の知識がないのに私のサポートができすぎではないだろうか。


「しっかり理解できていたなら、良かったです。そういえば、乗り物でお茶を出す仕事をしていたと言っていましたが、どうしてその仕事をしようと思ったのですか?」


彼を怪しんでいると、いきなり私に興味を持ってくれているような質問がきて嬉しくなった。


「その仕事は一定の身長以上の人しかできません。珠子は身長が高かったので、親戚からその仕事をやったらどうかと言われていました。でも、決定的だったのはその職業の人が主役のドラマで、ステイ先で城で合コンするという会話を聞いたからです。合コンとは男女の出会いの場です。私は昔から王子様に憧れていたので、王子様と会えると思いその職業を本気で目指しました。しかし、城で合コンは勤務した17年間1度も行われず、周りでも城で合コンしたという話を聞いたことがありません。私は心の中で取材もせず、いい加減なドラマを流したテレビ局を松明を持って襲撃しました。一見穏やかに見える私ですが、内面は結構攻撃的です」


私はCAになるために英語を頑張り、入社してから取れば良い救命救急の資格も入社前からとった。

私はそのドラマの主人公のように玉の輿目的でCAになったのかと思っていたが、本当は王子様に会いたかったからだと今気がついた。


「珠子様の内面の攻撃性は理解していますよ」

爽やかに言ってきたルイ王子にぞくっとした。


やはり、突然ヒステリックに怒り、1年8ヶ月逃亡のたびに出たからそう思われてしまったのだろう。

そのような面を知っても私のことを愛しているというルイ王子の言葉はますます信用できない。


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