第3話 続くオリエンテーション
ピカピカの重い学生服に包まれ、スポーツもやりもしないのにスポーツ刈りの妙に軽すぎる髪、
分かっているけど、昇降口の窓ガラスに映る自分の姿を見ると気持ちは複雑だ。
入学式は金曜日だったので週が明けて月曜日、中学生としての生活2日目の時間割は、歓迎会、学年集会、そして学活3時間。
学活の時間は学年全体では写真撮影や通学区会、クラスではお互いに自己紹介をしてビンゴを埋めていこうということをした。
入学式の日の簡単な自己紹介でもとても何を言おうか悩んだ私は自己紹介カードを書くのにもとても悩んでしまった。どのように書けば「正解」なのかがわからない。
そして10分が過ぎて、ほぼ白紙のまま時間を迎えてしまった。
「適当に何か考えて言えばいいや、とりあえず『それっぽく』乗り切らなきゃ。」
他の子と話さないように、話す時は小学校からの同級生と適当なことをうまく言って時間が終わるのを待った。自分が正直でいられない時間はとても苦しいものだった。
(今考えればなんていう陰キャ仕草だろうか、あまりにも不自然ではないか)
そして写真撮影、写真に写る私の顔はどの写真を見ても暗い面持ちだった。これは自分の姿だろうか?、「はるかくんは笑顔が素敵だね〜」と言われていた時の表情はどこにもない、作り笑顔でさえできないかのような表情だった。
そしてお昼の時間になり持参したお弁当を食べる時間に。
教室ではなく外の中庭的な場所で友達同士集まって食べていた。勿論直面する課題は私にはそんな友達が女の子側にしかいないこと、でもこの歳になれば男女がきっぱり分かれていくものだ、女の子の方にはいけない、仮にも私は男の子だ。こんな所で自爆行為になることはできない、けれどひとりぼっちも周りから心配されるだろうし、私自身もひとりぼっちは嫌だ。
そして小学校からの同級生の男の子と二人で隅っこで食べた。周りはとても和気藹々と話していて楽しそうだ、男の子グループも、女の子グループも。
どうして私はどちらにも入れないんだろうか。どちらの方向にも進めない自分自身が無性に嫌になっていった。
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