第16話 『楓の秘めたる欲望、アスリートの快感』
八月上旬。受験強化合宿を目前に控え、生徒たちの緊張は最高潮に達していた。特に、スポーツと学業の双方でトップを走る伊藤楓は、そのプレッシャーを全身で受け止めているようだった。陸上部のエースとして、そして理系公立コースの生徒として、彼女は常に完璧を求めていた。西山和樹は、そんな楓の密かな疲労と、研ぎ澄まされた身体の内側に秘められた熱を知っていた。
その日の放課後、和樹は楓からのメッセージを受け取った。「合宿前に、どうしても和樹くんにマッサージしてほしい。私の家で、ゆっくり時間を作れないかな?」和樹は、楓からの直接の誘いに、特別な意味を感じた。彼女は普段、自分の弱みを見せないタイプだ。和樹は彼女の依頼を快諾し、部活を終えるとすぐに楓の自宅へと向かった。
楓の家は、シンプルで機能的な内装だった。リビングに通されると、楓はすでにシャワーを浴びてきたようで、髪は濡れており、和樹が用意したTシャツとショートパンツに着替えていた。彼女の身体からは、石鹸と彼女自身の、どこか清涼感のある体臭が混じり合った香りが漂う。それは、アスリート特有の、研ぎ澄まされた生命力の匂いだった。
「和樹くん、来てくれてありがとう。合宿前に、どうしても身体をリセットしたくて……」
楓は少し照れたように言ったが、その瞳は真剣だ。
「もちろんいいよ。楓はいつも頑張ってるからな。どこが特に辛い?」
「全身だけど……特に、脚の付け根とか、腰、あと……胸のあたりが、なんか張ってる気がして……」
楓はそう言って、Tシャツの胸元をぎゅっと握りしめた。彼女の言葉に、和樹はわずかに息を呑んだ。梨花に続いて、楓もまた胸の悩みを口にした。
「わかった。楽な姿勢になってくれ」
和樹が促すと、楓はゆっくりとTシャツの裾に手をかけた。
「和樹くんなら、安心して任せられるから……これ、脱いでもいい?」
楓はそう言いながら、一瞬ためらった後、素早くTシャツを脱いだ。和樹の目の前には、白い機能性インナーのスポーツブラに包まれた、楓の健康的で引き締まった上半身が露わになった。彼女のバストはBカップとされていたが、鍛えられた身体の中では十分な存在感を放っている。ブラジャーの生地は身体にぴったりとフィットし、引き締まった腹部、そしてその下に続くしなやかな腰のラインが、和樹の視線を引きつけた。彼女の肌は、汗ひとつかいていないようだが、ほんのりと熱を帯びている。
和樹は深呼吸をし、緊張した手つきで、まず楓の脚のマッサージから始めた。太ももからふくらはぎ、そして脚の付け根へと、和樹の指が優しく、しかし確実に筋肉の張りを捉えていく。楓の脚は、鍛え抜かれているだけあって弾力があり、和樹の掌に吸い付くような感触だ。
「んんっ……そこ、気持ちいい……」
楓の口から、甘い吐息が漏れた。和樹は、彼女の太ももの内側へと手を滑らせていく。柔らかく、しかし弾力のある肌の感触が、和樹の掌に吸い付くように伝わる。そして、鼠径部のリンパ節を丹念にマッサージし始めた。陸上選手にとって重要な下半身のケアだ。
「あっ……ひぅっ……和樹くん……そこは……!」
鼠径部に触れた途端、楓の身体が大きく跳ねた。彼女の口から、これまで聞いたことのない、甘く、そして抑えきれないような喘ぎ声が漏れる。それは、単なるリラクゼーションを超えた、直接的な快感の表現だった。和樹の指先は、鼠径部の柔らかな皮膚の下にあるリンパ節を優しく刺激し、彼女の身体の奥深くに、波のような快感を引き起こしているのが分かった。楓の頬は真っ赤に染まり、瞳は潤んでいた。
「和樹くん……もっと……そこ……お願い……」
楓の声は、理性を失いそうなくらい甘く、和樹の理性もまた、その声に揺さぶられた。彼女の身体が、快感に身をよじる。和樹は、彼女の肌から漂う、興奮した体臭が、部屋中に満ちているのを感じた。
次に、和樹は楓の胸元へと手を伸ばした。
「楓、胸のあたり、張ってるって言ってたな。ここも楽にしていくぞ」
和樹は、乳房の基部からリンパの流れに沿って、優しく丁寧にメンテナンスマッサージを施した。スポーツブラのカップの上から、ゆっくりと円を描くように指を滑らせる。楓の身体は、和樹の指の動きに合わせて、微かに身悶え、深い息を漏らした。
「はぁ……和樹くん……そこ……すごく、気持ちいい……」
楓は、恍惚とした表情で、和樹の手をそっと握った。彼女の指は、わずかに震えている。アスリートとしての彼女からは想像できない、官能的な一面が露わになっていく。
マッサージを終えた楓は、ぐったりとソファに横たわった。その表情には、極度のリラックスと、どこか満たされたような、恍惚とした色が宿っていた。
「和樹くん、本当にありがとう。こんなに楽になったの、初めて……。これで、合宿も集中できる」
楓は潤んだ瞳で和樹を見上げ、その視線は、和樹への深い信頼と、性的な期待が入り混じったものだった。
「どういたしまして。少しは疲れが取れたか?」
「うん、すごく。……ねえ、和樹くん……こんなこと、和樹くんしかしてくれないから……また、お願いしてもいいかな?今度は、もっと……深く」
楓の最後の言葉は、和樹への独占的な願いと、より深い関係への誘いを明確に含んでいた。和樹は、彼女たちのアスリートとしての美しさと、マッサージによって引き出される官能的な反応とのギャップに強く惹かれた。彼女たちの心身を「癒やす」という行為が、同時に性的快感を与えるという複雑な関係性を深く自覚する。この夏、和樹と彼女たちの関係は、さらに深く、そして戻れない領域へと進んでいく。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます