アデニウム 〜砂漠に咲く薔薇

杉 孝子

第1話

 アデニウム 〜砂漠に咲く薔薇


初夏の日差しの中

僕のあとを追いかけて

君が走ってくる


名前を呼びながら

黒髪をなびかせて


振り向いた僕を

あたたかな君の手が

そっと、心ごとすくいあげる


君に抱きしめられて

二人の鼓動が

静かに、重なり合う


枯れかけた僕の胸に

いのちの泉が、あふれ出す

砂漠に咲く薔薇のように


甘い香りに包まれて

君が、耳もとでささやく

「ミケは、一番の宝もの」


君は、僕のアデニウム

出逢った瞬間に決まっていた

この運命に導かれて


ずっと、君のそばに咲きつづけたい

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

アデニウム 〜砂漠に咲く薔薇 杉 孝子 @taka0226

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ