第19話:決断の時、揺れる心
夜の静寂が城を包み込む中、私の心は嵐のように激しく揺れていた。
窓辺に立ち、星空を見上げると、無数の光が瞬いている。
それはまるで、私の胸の中に散らばる小さな想いの欠片のようだった。
セレスト様の過去を知ってから、胸に芽生えた不安は消えず、逆に深まっている気がした。
「彼の秘密が私たちの関係にどんな影響を及ぼすのだろう」――その問いが頭を離れなかった。
愛しているからこそ、彼の全てを受け入れたい。
でも同時に、その重さに押し潰されそうになる自分もいる。
部屋の中は柔らかな蝋燭の灯りだけが揺れ、私の心の不安定さを映し出しているようだった。
ひとり静かに座り込み、手のひらを見つめる。
「私には何ができるのだろう……」
胸の奥底から、弱さがこぼれ落ちそうになる。
しかし、そんな自分を責めることも許せなかった。
その時、扉がそっと開き、セレスト様が現れた。
彼の瞳は真剣で、優しさと決意が入り混じっていた。
「ミレーヌ、君が悩んでいるのは分かっている」
彼の声は静かで、しかし力強かった。
「僕も苦しかった。だけど、君となら乗り越えられると信じている」
言葉のひとつひとつが胸に染み渡り、私は目を閉じて深く息をついた。
「私も……あなたと一緒にいたい」
震える声でそう告げると、彼はそっと手を伸ばして私の手を包んだ。
冷たい夜風が窓から入り込むけれど、彼の手の温もりがそれを和らげた。
私の心は少しずつ、確かな光を取り戻し始めていた。
「これから先、何があっても君を守る」と彼が誓う。
その言葉は、私にとって何よりも強い支えだった。
夜空の星は変わらず輝き続け、私たちは静かに未来を見つめていた。
揺れる心はあったけれど、もう一人じゃない。
そう思えた夜だった。
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