第31話 海での船釣り
東に向かっていても大陸の北の海だが300㎞東に移動しても釣れる魚にあまり変わることは無い。なので今日は船釣りで何が釣れるか試してみよう。
【ジェミー】を船に変えて沖に出た。サッチャルも乗っている。船酔いを心配したが彼女は大丈夫だった。普段から目が回るような技で身軽に回転したりしていたので酔わなかったのだろう。
水深200m位のところで仕掛けを落としてみる。エサは岸近くで回遊していたカタクチイワシをサビキ釣りで釣って、ブクブクで酸素供給している活餌ボックスに入れてある。今日の狙いは真鱈だ。電動リールならぬ魔動リールで水面下150m付近を狙う。
ハッキリ言って真鱈釣りは初めてだ。何もかにもが試行錯誤。
本当にイワシの生餌で良いのかもわ分からないしそもそもこの辺で鱈が釣れるのかさえも分からない。釣り具は見ているうちに(あっ、これだ!と勝手に選んでしまっていたものだ。手元には、たも網の他に手鉤が用意してある。大物がかかった時にえらぶたに突き刺して船内に取り込むのだ。
早速かかった。リールを自動で巻く。竿先が大きくしなっている。大物の予感がする。
水面近くに上がった獲物は腹を膨らませた真鱈だサッチャルにたも網で掬ってもらった。雄だ。白子が期待できる。
続いて2投目、今度は雌だ。大きな真たらこが期待できる。雄5匹、雌3匹釣り上げたところで鱈釣りは終わろうとリールを巻きあげているとズンととんでもなく重い引きを感じた。糸を巻くリールが悲鳴をあげる途中でリール止めて竿の上下と魚とのかけひきで水面に引っ張り上げる。黒と灰色の混じった模様の大きな魚だ。サッチャルに手鉤をえらぶたに突き刺してもらって引き揚げてもらう流石獣人だ、30㎏位の魚体を軽々と船内に引き上げてしまった。
魚を鑑定すると【アブラボウズ】と出た。
食用らしいが脂が多いので刺身で食べ過ぎるとお腹を壊す恐れがあるという。身が柔らかいので、ソテーや煮込みにむいているらしい。瞬殺して、暴れて身が崩れないようにした。日本では㎏あたり4~5千円する高級魚らしい。
「初めて見る魚ね。どんな味がするのかしら?」
「僕も初めて見た。鑑定できなかったら捨てちゃっていたかもしれないなあ」
陸に戻ってタラ鍋の準備をする。
白子がたっぷり入った贅沢料理だ余った身はフライにしたりして楽しもう。
鱈鍋だけでお腹一杯になった。今夜は日本酒を嗜む。ウーン贅沢贅沢!
何か頭の中で通知音が鳴った気がして確認すると新しいギフトが増えていた【釣り名人】【魚殺し】【魚介の天敵】この3つの中から好きなものを選びなさいとのメッセージが付いている。【ジェイミー神様】僕で遊んでない?
迷わず【釣り名人】を選ぼうとしたらサッチャルが「絶対に【魚介の天敵】にした方がいいよ!」と主張する。なぜかと聞くと釣り名人だと魚だけで、魚介の天敵ならエビカニ貝類も捕り易くなりそうだからと主張する。
「仕方ないなあ」と【魚介の天敵】を選んだ。
なんだかサッチャルの尻に敷かれそうな気がする。気のせいかな?気のせいであって欲しい。
そう言えば鱈の生息する所にタラバガニが生息するって聞いたことがあったな。船を出して結界で引き網を作って海底に下ろして船をゆっくり走らせる。網がずっしりと重くなったところでゆっくり船上に引き上げて結界網を解除すると型の良いタラバガニが200匹以上獲れた。これって【魚介の天敵】のおかげかな?
「ね、言ったでしょ。早速ご利益が有ったじゃない!」
「あ、ああ」
やっぱり尻の下に敷かれそうだ……瞬殺して収納空間にいれておいた。明日は焼きカニ、茹でカニにと楽しめそうだ。
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