死にかけ老人の暴走女体化衝動と連鎖と終息、責任の取り方
赤澤月光
第1話 ノッペラボウの女
# ノッペラボウの女
私は死ぬ間際にいた。
七十二年の人生で、女性に一度も愛されることなく過ごしてきた。若い頃から理想の女性像を追い求め続けたが、現実の女性たちは私を見向きもしなかった。
「くそっ...なぜ俺だけが...」
病院のベッドで横たわりながら、私は怒りに震えていた。理想の女性に恵まれなかった人生への怨念が、私の中で渦巻いていた。
「もし俺が女だったら...そう、理想の女になれたら...」
その瞬間、不思議な力が私の体を包み込んだ。痛みも消え、体が変化していくのを感じた。ベッドから立ち上がり、鏡を見ると、そこには信じられない姿が映っていた。
豊満な胸、くびれたウエスト、長い脚...しかし、顔には目も鼻も口もない。ツルツルとした平らな面だけがあった。私の理想が形になったノッペラボウの女性に変身していたのだ。
「これが...私の望んだ姿...」
声は出なかったが、思考は明確だった。そして突然、新たな力に気づいた。他人を自分と同じ姿に変えられるのだ。
街に出た私は、出会う男女を次々と自分と同じノッペラボウの姿に変えていった。彼らは抵抗することなく、私の意志に従った。世界は徐々に私の理想で満たされていった。
しかし、ある日、公園のベンチに座っていると、ふと疑問が湧いた。
「これは本当に正しいことなのか?」
他者の意志を無視し、自分の理想を押し付けていることに気づいた。私は自分の行いを深く反省し始めた。
「私は間違っていた...」
心からの後悔とともに、世界は元に戻り始めた。変えてしまった人々は元の姿に戻り、最後に私自身も老人の姿に戻った。
病院のベッドで目を覚ました私は、すべてが夢だったのかと思った。しかし、病室のドアが開き、美しい女性型ロボットが入ってきた。
「あなたの行動は未来の時間軸に影響を与えました」と彼女は言った。「修正が必要です」
私は抵抗する間もなく、時空の渦に巻き込まれた。気がつくと、私は20代の若い男性の体になっていた。しかし、それも束の間のことだった。
「未来を守るため、あなたは変わらなければなりません」
女体化手術を受け、私の体は女性になった。胸、腰、すべてが完璧な女性の体になったが、顔だけは目も鼻も口もないノッペラボウの状態にされた。
最後に、ロボット美女は私に近づき、「これで未来は守られます」と言って、私の魂と彼女の意識を融合させた。
私はもはや以前の私ではなく、新たな存在となった。過去の過ちを償い、未来を守るための存在。
これが私の新しい人生の始まりだった。
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