夏の雲、今日も大きい

神永 遙麦

夏の雲、今日も大きい

 暑い中、洗濯物を取り込んでいた。クーラーも扇風機もなく、大きくカーテンが揺れる部屋。洗濯物が終わったら、クーラーがある寝室へ行く。あと少しの辛抱だ。

 汗ばんできた。気力を根こそぎ奪われそうなくらい暑い。

 

 ミンミーン、じわじわ、ミーンミンミン。

 洗濯物を取り込み終わるとバンっと網戸を締めた。洗濯物を畳んでから、ふぅと寝転がった。暑い。ダルい。体力、全部奪われた。よし、体力復活待ちだ。開けっ放しのカーテンの向こうに青空が見える。もくもくと上がる入道雲。ああ。夏だなぁ。長い長い夏に入ったんだ、もう。一度夏に入ってしまえば、また涼しくなるのはいつからだろう?

 ごろんとうつ伏せになって、スマホを見始めた。外からミンミン。部屋中がむわむわ。あぁ、夏で青いのって空と海だけじゃない?

 うとうと……。ぐったりと瞼が重くなってきた。マズいなぁ……、夕方になったら、涼しくなったら買い物に行かないといけないのに……。

 スマホを傍らに置き、仰向けになった。ぼんやりと空を見た。あ、ポツポツと小雨が……。小雨?

 私はバッと目を見開き、起き上がった。その瞬間、ピカッと空が紫に光った。ズァーン! バリバリバリ!

 かすかに床が震えた。何度がゴロゴロと鳴ったあと、ザァーっと雨が振り始めた。スマホを見ると、洗濯物を取り込み始めてから1時間が経っていた。

 ピカッ、ゴロゴロゴロ、バリバリバリッ。

 あー、終ーわった。もうどこも行けねえや。……せめてアイス食ーべよう。

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夏の雲、今日も大きい 神永 遙麦 @hosanna_7

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