石臼翁のコラムには、生活に根差した人情の機微や、人生の教訓が散りばめられている。そこには、翁の実体験に根差した真理がある。いまを生きる若者にとって、翁は偏屈爺に見えるかもしれないが、彼は路地裏の賢者である。路地裏の賢者は、どの街にもたいてい一人はいる、なんの変哲もない老人に見えるだろうが、彼らが生きてきた時間にはどんな鉱石よりも貴重な輝きがある。そして、石臼翁は、各街にいる路地裏の賢者の代弁者なのである。