雨と君の涙は甘い。

励はたけのこ派

プロローグ

雨が、降っていた。

雨嫌いの俺は灰色の空模様を見て、


「クソッ」

と短く悪態をつく。

ビニール傘を傘立てから乱暴に取り、差す。そして低気圧のせいで痛む頭を鬱陶しそうに掻く。


俺こと小沢春おざわ はるは雨が大嫌いだった。

怪我する時は決まって雨の日だし、俺の母親が浮気で出てった日も雨だった。

だから、

毎年やってくる梅雨の時期は俺にとって地獄のようなものだ。


そんなことを思っているうちに、自宅に着いた。

いち早く汚い雨粒を洗い流さなくては。と、俺は風呂に入る。

熱いシャワーを浴びながら、ふとこんなことを思った。

(雨なんて、世界から無くなればいいのに)



これは、小沢 春が雨をちょっとだけ好きになる話だ。

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