第四章 アイドル活動
第17話 アイドルはやめてくれ
アイドル候補生にはS~Dまでのランク付けがなされている。
歌もダンスも下手な花林は最低ランクのD評価。そのせいで同じレッスン生徒からやっかみを受けている。
D評価のメンバーは合計三人(花林を入れて)。
そしてその三人で次のランクに行くための作戦会議が執り行われることになった。
夜の九時。道を歩いていると連絡が掛かって来た。つい肩が反応してしまう。
その後電話に出ると相手は斎木からだった。
「あ、うん。斎木どうしたの?」
「いやあ、まあ世間話したって意味無いか。あのな、はっきり言うぞアイドル辞めてくれ」
「えっ――」
「お前の夢は根本的なところで言うと他責思考だ。だからそれはお前の夢であって夢でないんだよ」
花林は首を振った。
「どういうこと? 意味が分からないよ」
「ならはっきり説明してやる。お前は燐がアイドル好きだったからその夢を追いかけることにしたんだろ」
花林は、斎木の言葉の節々にある妙な違和感に気付いた。
「もしかして……お姉ちゃんに何か言われたの?」
あいつなら有りそうだった。妹の友達を使って花林のことをコントロールしようとすることは。
「……それは……なんでそいつの名前が出てくるんだよ」
「答えてよ!」
「……ごめん。それは無理だ」
いつの間にか電話は切れていた。
その場にうずくまる花林。これから先どうしろって言うの。
――けっきょく花林は孤独なのか。自分一人でやるしかないのか。
****
小学三年生の時、一個下の二年生に木頭燐がいた。
授業のとき、学年を超えたレクレーションをしようと決まり面倒臭いなか花林は行った。
その際、燐はレクレーションに馴染めなかった――いわんクラスに浮き彫りになっていた。
実のところ花林もそのようなところがあった。
だからこそ燐に話しかけられたのもあるだろう。
「大丈夫? クラスのみんなと一緒に遊ばないの?」
「付いていけないの。なんだか、馬鹿らしくて」
「それはみんなが?」
「ううん。自分が。クラスメイトとバカ騒ぎをしてしまう自分を俯瞰すると嫌でも馬鹿に見えちゃって」
「そっか……」
この頃から自然に花林と燐は友人になり、休日に一緒にカフェに行ったりウィンドウショッピングをしたりした。
すごく楽しかった。だが、花林はいつからかアイドルに。燐は引きこもりになった。
****
♪♪♪応援マーク、星、ブクマと感想お願いします!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます