第一話II

「げっ、まじか。


リーダー!ルーカスさん来ました!」




「よーし。みんな、ミーティングするぞー」




「ほらレナ先輩、早く立って!ミーティングしますよ!!」


「ふっ じゃあセヴァくん、今日もがんばろーね ふふっ」






嗚呼、俺の憧れ。

嗚呼、平穏な生活。


磨りガラス越しに規則正しい足音を響かせ、赤い、でかい何かが迫ってくる。



同僚たちは部屋の奥の方へ詰めていき、一人机に残される。




「えー、求愛タイムの有効活用として、今からミーティングを始める。

セヴァ、がんばれ。」


「今日はバラかな ふっ、ふふふっ。108本かな、熱烈プロポーズだね」

「レナ先輩、ニヤニヤしすぎ」





絶対断られるのに、わざわざ人間界から取り寄せたのか?

俺の憧れは、クレイジー阿呆の営業スマイルだったのか?


呼吸を整えて、玉砕の準備をする。



自慢の艶髪を揺らしながら、轟音と共にドアが開く。



さあ、今日も1日が始まる



「セヴァ! 嗚呼、僕の天使!愛してる結婚しよう!!」


「俺もお前も天使じゃねぇし、結婚もしねぇ!!」




「はぁ、冷たい視線、たまらない!やっぱり好きだ!!

君のためならなんだってする。絶対幸せにしてみせる!このバラ、受け取ってくれ!!」


「受け取らない!なんだってするっていうなら頼むから静かに通勤してくれ」


「何故だ!庭園で愛でていたから、花が好きなんだろうと思って取り寄せたのに!」



「おいちょっと待て。なぜ俺の帰り道の行動を把握してる?」


「君に喜んでもらいたいと思って、、(照れ)」


「、、(照れ) じゃない。どうやってそれを知ったかを聞いている。」


「そりゃ、こっそりあとをつけたからに決まって、、あっ」






「ふっ、ふふっ」

「レナ先輩ちゃんと話聞いてます?」

「ふっ、うん。今地雷踏んだとこだよ」

「え?」





「ルカ、俺言ったよな?勤務時間外は関わってくんなって」

「あ、ああ。だっ、だから隠れて着いて行っ」

「俺言ったよな?プライベート侵害してくんなって」

「、、、(微笑み)」



「端正な顔で微笑んでんじゃねぇこのストーカー野郎!!そこ座れ!!」

「、、、はい。」



「おー、ヒートアップしてきたな。

じゃ、これでミーティング終わりにする。

後の連絡はスマホで見てくれ。

じゃ、レナ、ソルト、うまいこと引き剥がしといてくれ。」


「「はーい。」ふふっ」


今日も今日とて、

正統派組は平和(?)です



「おい、しゅんとした顔してんじゃねぇ!顔がいいからって騙されないからな!!」


「はい(怒っててもセヴァは可愛いな 明日はどんなプロポーズにしよう)。」



「セヴァくんってルーカスくんの顔だけはほんと好きだよね」


「先輩、それ絶対本人の前で言っちゃだめですからね?」

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