第三話 殴れる砲台盾製作準備!

「おじいちゃん酷いんだよ!昨日の配信どうだった?って聞いたら「コメ欄開いた時の優のアホヅラ、面白かったぞ〜」って、2人しかいないと思ってたのに凄い数の人が見てたら誰だってそうなるじゃん!」


初ダンジョン配信を終えた翌日、優は学校で昨日の夜電話した祖父についての不満を舞に溢していた


「優のおじいちゃん、人を揶揄うのが好きだから隙を見せた優が悪いんじゃない?まぁ昨日の同接見る限りそうなっても仕方ないとは思うけど」


「おじいちゃんの家に住み始めてからそうではあったけどさぁ、何度もやられてもムカつくよ!不貞寝しちゃってマーちゃんに電話出来なかったし」


「学校でも話せるしそこはいいんじゃない?優のおじいちゃんも優の反応が面白いから揶揄ってるんだと思うよ」


「思春期のこどもじゃん!」


祖父に対する不満を頬を膨らませ顔でも表現する優に苦笑いを浮かべる舞


「まぁまぁ落ち着いて優、そういえば昨日のボス部屋前にハンマーにつけたアタッチメントって私にお願いしてたやつだよね?問題なかった?」


優を落ち着かせる為に昨日の配信へと話題を変えるとさっきまで不機嫌だった優の顔が一瞬で上機嫌になった


「よかったよ!実験的に作ったものだったけどマーちゃんに付与してもらった魔法も問題なく発動できたし、これで製作の幅がさらに広がりそう!ボスのサイズ的にハンマーで殴ったらその部分を抉るだけで一撃で倒せないから時間食うしありがとうマーちゃん!」


「良かった。にしてもよく思い付いたね、武器とは別でアタッチメントに発動型の魔法を付与するなんて」


「魔法が使える武器はいつか作るつもりだけど、製作中に特定の魔法陣をイメージしながら作るのは少なくても今の私じゃ難しい。ならいっそ武器はいつも通りにそこへ接続できるアタッチメントに魔法陣を付与してもらって、そこに魔力を流す事で発動出来るようにすればいいんじゃないかって思ったんだ〜」


「それが出来るなら魔法を使える武器をつく必要ないんじゃない?」


舞の問いに対し優は首を横に振って目を輝かせながら否定する


「それじゃあ意味ないよ!魔法が使える【魔法武器】それをこの手で生み出す事自体が!最っ高にロマンじゃん!アタッチメントはあくまで魔法を使う為の媒体でしかないし、魔法武器とは似て非なるものだよ」


魔法を専門的に使う探索者の中には杖や本などを武器として扱うものもいるが、其れ等は武器に付与されているスキルで魔法の威力や発動速度を上げる補助の役割が多く武器から魔法を扱うもの数は少ない


「ダンジョン品の中には魔法武器があったりするけど作った人は今までいない、そんな未知を知にする事もロマンの一つ!」


「わかったから立ち上がら無いでね優、ここ図書室だから」


図書室で話しているうちに熱が入り、席を経って右手の人差し指を天高く掲げながら声を出した優にクラスメイトと教師の視線が集まる。今が授業中だと思い出した優は少し顔を赤くしながら四方に謝罪をして席に座る


「いくら自由時間でも騒ぐのはよくないよ。熱が入るとすげ周りが見えなくなるんだから優は、それで配信は続けるの?」


「返す言葉もございません。配信は続けるにしてもおじいちゃんとマーちゃんだけが見れるプライベートにしようか悩み中かな、配信を通して何か欲しいわけでも無いし」


優は一人暮らしではあるが探索時に使わない素材を売る事で高校生ながらお金には余裕があった、たまに探索者主催で開かれるオークションに散財する事はあるが


「私は続けるのもいいと思うけど」


「そうかな?」


2人以外へ配信する事のメリットを感じられなかった優は舞に聞き返す


「優のスキル上色んな人の意見があった方がよりアイデアも広がるんじゃないかって、私や優のおじいちゃんだけだと偏りは出ちゃうでしょ?それを防ぐ意味でも配信は優にあってると思うよ」


優自身ロマンを創る事に生活を振り切っており、交友関係は広いわけではない。その為舞の指摘は理に叶っていた、最初こそ視聴者の多さに面を食らったがそれはより多くの意見をもらう事にも繋がる


「確かに、配信をしてれば人の多さにもなれるだろうし考えてみたら私にメリットしかないかも!なら今日作る予定だった殴れる砲台盾も配信した方がいいかな?作ってる間無言になっちゃうけど」


配信をあまりみていない優でも配信主が終始無言というのが普通ではないと理解しており、かと言って片手間で作れるほど簡単なものでは無い事も分かっていた


「あ!それなら!」


今日配信するか考えていた優はとある事を思いつくと舞にお願いして快諾を得ると、放課後準備の為1人で先に帰宅し足を弾ませながら自身の工房がある地下へと降りていった






下層ボスをワンパンするお嬢のスレ


379名無しの探索者

結局お嬢は配信続けるんだろうか?


380 名無しの探索者

どうだろ?元は2人にしか見せるつもりが無かったらしいし無いんじゃね?あるならみたいけど


381 名無しの探索者

あの時下層ボスをワンパンソロ討伐に目が入ったけど後から見たら武器から魔法が発動したように見えた。もしかして人類初の魔法武器を作れる生産職が出てきた?


382 名無しの探索者

ただとしたら国宝級だろ、質問したい事がまた増えた。けど聞ける場所がねぇ


383 名無しの探索者

それ抜きでも続けて欲しいけどな、下層をソロで探索できて且つボスをワンパン出来る配信者なんて見た事ないし


384名無しの探索者

それな、俺はハンマーのギミックに拘りを感じたから他にも武器があるなら見ていたい。つか作る予定の殴れる砲台盾もみたい


385名無しの探索者

文字だけ見たら意味わかんないよなwでもあのハンマーがお嬢の自作なら本当に作れそう


386 名無しの探索者

頼むお嬢、配信してくれ〜


387 名無しの探索者

お?お嬢のチャンネルから通知がきたぞ!


388 名無しの探索者

まじか!?ほんとだ【配信予約はマーちゃんがしてくれました】自分では出来ないのかお嬢


389 名無しの探索者

ドローンの操作メモ見ながらしてたから多分機械操作が苦手なんじゃね?今の時代珍しいけど


390 名無しの探索者

上司に土下座して有休勝ち取ってきた、今からダッシュで帰って枠待機するわ


391 名無しの探索者

俺もそうする、流石にお嬢の配信は見逃せないわ




「この表示されてるのが配信の待機人数だよね?何この数字?バグ?」


服装を制服からいつものオーバーオール作業着に着替え、工房で配信準備を終わらせた優は配信画面に表示されている待機人数に驚く。昨日の配信では最後、コメ欄も開かず枠を閉じその後見返す事もなかった為自分の配信を何人の人が見ていたかを優は知らなかった


「バグじゃなくて正常、昨日優がすぐ配信閉じちゃったから知らないだろうけどいる時は6桁超えてたよ?」


優の独り言に答える舞、何故舞が工房にいるかというと優が自分の配信に出て欲しいと舞にお願いしたからだ


そんなお願いに対して舞は、配信を続ける様提案したのは自分だから手伝える範囲で手伝いたい、自分も生産職だから今のうちに繋がりを作れるならメリットもあると優のお願いを受け入れた


「6桁!?」


自分の予想を超える視聴者の数に作業の手を止めて首を舞の方に向け驚愕する優


「多分今日もそのくらい行くと思うよ。優の武器作りかなり特殊だから」


「うそでしょ…武器作りに関しては流石におじいちゃんや他の職人さん達見てるから自分が特殊な自覚はあるけど、かと言って楽なわけじゃ無いからなぁ。マーちゃんがきてくれてほんっとうによかったよ、うっそろそろ配信始まる」


止めていた作業を終わらせ時計を見ると後数分の内に配信が始まる事を示していた


「それじゃあ適当なタイミングで私を呼んでね、それまではドローンの横で待機してるから」


「わ、分かった」


ドローンから少し距離を取って正面に立つと深呼吸してなんとか落ち着かせようとするが、その前に配信開始を告げる赤ランプが付いてしまった


〈きた!〉

〈待ってたぜェ‼︎この瞬間をよぉ‼︎〉

〈急遽有休取ってきました〉

〈殴れる砲台盾楽しみに来ました!〉

〈お嬢固まってないか?〉

〈お嬢どうしたwww〉


「た…」


〈た?〉

〈なんかプルプル震え出したぞお嬢w〉

〈こんな小動物みたいな子が、中層鉱石を握り砕いたり下層ボスワンパンしたってマジ?〉

〈お嬢の目線、ドローンにいってないな?その横を見てる。誰かいるのか?〉

〈なんか変態おるんだけどwなんでお嬢の視線が分かるんだよw〉


「助けてマーちゃん!!」


耐えられなくなった優はドローンの横に立ってる舞に助けを求めて飛びついた


「え?ちょっと…ロマン!?(危ない思わず優って呼ぶところだった)」


舞は急に飛び込んできた優をなんとか受け止め驚きながらも落ち着かせようとする。そんな様子をドローンカメラは優を追って写す


〈誰だこの黒髪ロング美女は〉

〈明るいくるみ色のショートヘアお嬢といい感じの色合いですね。可愛い系と綺麗系で対比になっているのも素晴らしい〉

〈なんか解説ニキ現れたぞw〉


「画面の向こうに数万人の人が見てるって考えたら喋れない!助けてマーちゃん!」


優の言葉に少し呆れながらも返答する舞


「どう考えてもモンスターとの戦闘の方が緊張すると思うんだけど」


「だってあいつらは素材で人間は人間じゃん!それが数万人いるんだよ!?その前で喋るの無理だよ…なんでマーちゃんは普通に喋れてるの?」


「目の前にいるならまだしも、話しかけてるのはドローンだから意識してないだけだよ。ほら見てる人置いてけぼりだから紹介して」


舞にもたれかかっている優を立たせ自分を紹介する様促される


「そういうものかな〜?うっ、えっと…友達のマーちゃんです」


〈頑張ったなお嬢〉

〈別に人見知りってわけでもなさそうだしつい昨日まで万バズするとは思っても見なかったらこうなるか〉

〈これに関してはマーちゃんさんの方がおかしいまでありそうw〉

〈俺も5万人の前で喋れって言われても無理だわw〉

〈下層ボスモンスター<五万人の視聴者(モニター越し)なの笑う〉


「ほんとだ同接五万になってる。こんにちわ紹介されたマーちゃんです、今日はロマンが殴れる砲台盾?を作るので作業中ロマンに対する質問を答えられる範囲で私が答えていこうと思います。ロマンは製作中喋れないので」


「マーちゃんの場慣れ感凄い。配信やってた?」


「全然、それよりほら早速作るんでしょ?殴れる砲台盾」


「勿論!素材は前回ボス周回して集めたからあとはつくるだけ、イメージも出来てるからとっても楽しみ!」


舞と話す事で緊張が解れたのかいつもの調子で話し始める優、舞から離れ作業台とその上に広げられている素材の元へと歩く


「それじゃあ早速始めるから後はお願いね、マーちゃん!」


「了解、頑張ってね優」


〈素材が多いから分かるんだけどかなり広い作業台だな〉

〈ドローンが周り写してるけど作業に必要な炉がなくね?素材を溶かしてインゴットとかにする工程あるよな?〉

〈何気に生産職の作業工程見るの初めてだからワクワクする〉


作業台と素材以外は何も置かれてない広い部屋の周りを写した後、ドローンは舞と作業台全体が映る様に動き舞は優の邪魔にならない作業台の隅へと移動した


〈作業台に来たらむっちゃ凛々しい顔してるなお嬢〉

〈それくらい集中してるって事だろ。どんな風に作るのか楽しみ〉


「ロマンは作業してる時、爆弾くらいの音量のアラームが鳴っても気づかないくらい集中するので隣で話してても気が散ったりはしないんです」


作業台の上に広がっている素材を見渡した後右手を頭の横まで持って来ると何も無いところから現れた鎚を手に取り、作業台の素材が置かれていない場所へ向けて魔力を鎚に込めながな振り下ろした

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アイテムクリエイター ロマンを創る為に今日も彼女はダンジョンを探索する アルファディル @Arufadhiru

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