第3話「謁見」
さて、大きな扉の前に来た。
「やっぱり震えるな、壮観過ぎて。」
「やぁ、君が謁見予定のボブ君かな?王の近衛のラスタゲインという者だ。」
「はい!そうです。」
「良し!では今から俺と反対側のあいつが扉を開くから、少し下がってて。」
風に圧力を感じる。
…開かれた扉の先には、長い髭を携えた王が座っている。
─思わず少しここに来たことを後悔してしまった。
静かに歩みより、片膝をつく。
「謁見に参りました、ボブです。」
…こんな感じで大丈夫だろうか。
「ンハッハッハッハ!よく来てくれたねぇ、ちゃんと服も着とるなぁ。」
「しかしそんなに堅くされるとかえって申し訳なくなるよ、大分待たせてしまったのだから。」
始めて合った時と同じで、豪胆な人だ。
「本当は俺から説明しよう、と言いたいが。」
「なんせこのような事は始めてだからな、俺も何処から何処まで話せばいいかが分からんのだ。」
「だからこそ聞こう、何が知りたい?」
…何が知りたい?
そんなの沢山ある…けど。
「魔法を使う方法について、知りたいです。」
異世界に来たなら、言ってみたいよこれは。
「…」
「やはりそう来るか、お前には使えんよ。」
「正確にはお前の体内にある水を媒体とすれば下位の水魔法程度は使えるかもしれんがな、それをしたとて脱水で倒れるだけだ。」
分かっていた、分かっていたがその言葉は想像以上に重くのし掛かった。
…
部屋を出て、緊張が解かれる。
「ふうっ」
「緊張したか?ボブ君」
「はい、ラスタゲインさんでしたっけ。」
「そうだ、ンハハッ俺もここに入った後毎回緊張してるんだよ」
あの後他に転移者が居ないかも聞いてみたがアレタルトには居ないらしい。
ただ、この世界の情報網が発達していない事は念頭に置いておくべきであろう。
…そして謁見の次の日、俺は休日を堪能していた。
「… … …」
「やべぇ、昼から寝ちまいそうだ」
王に仕えているのだ、昼夜逆転など話にならない。
「ん~どうせなら、中庭にでもい・こ・お・か・な~」
俺は中庭の件が気になっていた。
ドアノブに手を伸ばす。
コン コン コン
「…!はい!」
「…現、清掃監査員のギルだ。」
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