マナの石臼

中の人(カクヨムのすがた)

塩吹き臼




むかし、むかし




あるところに正直者の若者とそうでもない若者がおったそうじゃ。


この手の話によくあるように、正直者は弱きものを助けた。


そしてその見返りに「石臼」を受け取ったのじゃ。


この石臼、回しながら願うとそれが出てくる。


「米出ろ」「金出ろ」「家出ろ」


あっという間に正直者は長者になった。


そしてこの手の話の常、そうでもない若者が正直者から石臼を奪った。


奪った石臼を抱え船に乗り、石臼から菓子を出ししこたま食った。


ちょっと辛いものが食べたくなり「塩出ろ」と塩を願った。


だが彼は「石臼の止め方」を知らなかったのじゃ。


そして無尽に湧き出る塩と共に船は沈み、若者は海の藻屑となった。


今でも石臼は海中で塩を出し、それゆえ海水は塩辛いそうじゃ。




どっとはらい。





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