たった数ヶ月の小さくて、大きな思い出

なそ

唐突な終わり

「今日もおもしろいことは無さそうな日だなぁ。今日みたいな晴天はある意味いい自殺日和な気がするな」

「はぁ、しかし夏休みというのになぜ学校に行かなくてはならないのだ?しかも補習。この間の中間だって全然点数悪くなかったのに...」

でも、思い当たる節はある。授業は大抵受けずに学校をふらついていたり、受けたとしても机に突っ伏して寝ている...。

「ヨナ、そろそろ行かないと遅れるんじゃない?」

「分かってる」

階段を降りる。

「う、うわぁぁぁ」

「いった、めっちゃ痛い...」

最悪なことに、足を滑らせて落ちてしまった。

「ちょっと、すごい落としたけど大丈夫なの?って何してるの」

ママが来た。ちなみに僕は今、床に引っ付いている。床と、キス出来そうなくらいだ。ヤダな床とキスなんて。汚いじゃん、絶対。だってみんなが毎日踏んでいるんだよ。汚い足で。うっ、気分が悪く...

「階段から落ちた...」

「何やってるの?」

「僕もほんとにそう思うよ」

「大丈夫?学校に行けそう?」

「うん。行けそう。幸いなことにあまり打たなかったし」

打ったは打ったのだが、痛みはほぼない。

「じゃあ学校行ってきなさい。補習でしょしっかり受けて来なさい」

「あと最近通り魔が出ているみたいだから気をつけるのよ。人気の無いところとか行っちゃダメよ」

言ってたなテレビで...

「分かった気をつける。行ってきます」

「行ってらっしゃい」

ドアを開ける。日光の光が強い...ドアを開けただけなのにこの熱風...こんな炎天下の中人を殺すなんてバカじゃないか。昨日見たテレビでは顔とかバレないように着込んでると言ってたな。絶対暑いだろうな...いやまて、そんなに着込んでたら普通に不審者で通報されないか?うん...バカだその通り魔。

「はぁ、ていうか学校に着く前に干からびそうだ...」

重い足取りで進んでいく。見慣れた街。見慣れた道。見慣れた景色。何も変わらない日常だ。そして、多分遅れる。よし、諦めよう。頑張ったところで遅れるなら頑張るだけ無駄だ。そう思いながら学校への道を歩く。近所の小学生がアイスを食べている。羨ましい。

「そうだ!今日の補習が終わったらアイス食べよ。そうと決まれば早く行って早く終わらそう」

歩き慣れた道を走る。変わらない景色を横目に学校へ急ぐ。汗が頬を伝う。走っているからこそ来る風が気持ちい。あと少しで学校だ

ドンッ

えっ、な、お腹が、痛い。何が起きたのあっ、地面が近づいてくる。

ドサッ

「キャァァ ひ、人が刺されたっ」「救急車だ。救急車を呼べ」「通り魔は?」「クソっ逃げやがった」「君、救急車を呼んだからな。もう少しの辛抱だ頑張れ」

僕刺されたんだ。つまりこれで死んじゃうって事なのかな...ソレは最高だ。死ねるのだから。はは、でも他殺は嫌だったのになぁ。

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