正直、嫉妬しています。行間に香る対外性が美しいです。生活の美しさを切り取る写実的であり幻想的な文脈が綺麗な色をされています。連作とは異なる1首部門も見せていただけたらなと心から願っています。
一つ一つはたったの31の音で構成されています。だけど、その一つ一つは大きな物語の1つの流れをすくい取ったもの。それぞれにストーリーがあってそれぞれに美しいのです。短歌のそういうところが好きです。この短歌達も、そう。
口に塗るくすんだベージュおちていく桃のジュースはこんなにおもい言葉の選択の巧みな短歌です。下の句への展開には驚かされます。それなのに作品の印象はやわらかで、こころにじわじわ染み込んでくるのです。優しく鋭く繊細で大胆な口語短歌集と言えるでしょう。推し短歌1首。好きになる人を見つけた君がいてそれは雨降る前の鳥たち