第10話
ドルドがオースティンの街で活動をはじめて1週間ほどが経った。
割の良い依頼ということでいくつか提示板の依頼を受けてみたがゴブリン退治と薬草を採取した方が効率が良いことがわかりドルドはゴブリン退治と薬草採取に精を出していた。
「はい。今日も凄い量ですね」
「提示板の依頼を受けるより割がいいですからね」
「普通の人はそうならないんですけどね。でも、ドルド様がゴブリンを退治してくれるおかげで助かってるんですよ」
「そうなんですか?」
「新人の冒険者がゴブリンと戦う必要が減りましたから」
「へぇ・・・。そんなことになっていたんですね」
「今後の活躍も期待しております」
ドルドはこの日も併設されている酒場にやってきた。
試しに他の店でも食べたことはあるのだが倍以上の料金を請求されたり美味しくなかったりと散々な結果だった。
「お兄さん。今日も大銅貨5枚分?」
「それでお願いします」
「は~い。いつも利用してくれてありがとね」
ドルドが代金を払うとすぐに料理が運ばれてくる。
今日の料理もどれも美味しそうだった。
料金が安い理由はこの酒場が冒険者ギルドの直営で魔物の食材を安く仕入れられるからだ。
そして腕のいい料理人を抱えていることによる。
この酒場の料理人は高級料理店で修業をしていたこもある凄腕の料理人なのだ。
だが、少し変わり者でもある。
給金の為ではなく食べた人が笑顔になってくれた方が良い。
そう考える人物だったのだ。
ドルドが食事を終えると頼んでいない料理が届いた。
それは黄金に輝く氷菓子だった。
「あれ?頼んでいないはずだけど」
「あぁ。それは料理長からのサービスだって。毎日大量に注文してくれたお礼だって」
「そうなんですか?」
「特別なお客さんにしか出さない奴だから楽しんでいってね」
そう言って娘は次の客の元に向かっていった。
ドルドはスプーンですくって食べてみる。
特別な客にしかださないだけあってその氷菓子は今まで食べたどんな料理よりも美味しかった。
接客を終えたのだろう娘が話しかけてくる。
「どうだった?」
「今まで食べたどんな料理よりも美味しかったよ」
「そう。料理長にそう伝えとくね」
娘は満面の笑みを浮かべ行ってしまった。
冒険者ギルドを出ようとしたところでドルドは冒険者ギルドの職員に呼び止められた。
「ドルド様。すみません。少しお時間よろしいでしょうか?」
「どうかしましたか?」
「ギルドマスターがお会いしたいと・・・」
「ギルドマスターが?」
「はい。断ることも出来ますがここでやっていくなら会った方がいいですよ」
権力者の誘いを断れば今後動きにくくなるかもしれない。
後は宿屋に戻って寝るだけなのでドルドはこの誘いを受けることにした。
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