第3幕:卒業?

 目が覚めた。今日は卒業式だ。早くスーツに着替えて大学に行かないと。


まず朝は、顔を洗い、亡くなった父の仏壇に手を合わせる。


 そしたら僕は、朝ごはんを作り、それを食べてから大学に行く、いつものルーティーンだ。本当に今日で、教育機関からの卒業になるのか、4月からは俗にいう、新卒という存在になる。


 少し不安だ。しかし、心のどこかで【ワクワク】している俺がいる。


 そして、卒業式は終わった。あれ、意外とあっという間だったな。それよりも、卒業式の後は、やっぱり飲み会だろ。もちろん俺は出席することにした。


 今から、飲み会楽しみだな……。


 …ピピ…ピピピ……。

「うるさいな〜」そう言いながら、アラームを止めた。

今日は、高校の卒業式だ。さっきの夢楽しかったな…。

 

 いつも通り、昨日の晩御飯の残り物を食べて、朝の支度を済ませた。今日は早めに家を出て、いつものコンビニの前で待ち合わせの約束をしている。


 そして待ち合わせの時間、夏帆と陽太と合流した。


なぜいつもより早く、学校に行くかというと、今日の1年前とある交差点で事故がおこった。そこに花を置きに行くからだ。


「あいつら元気かな」陽太の声が少し震えてる。


いつもは、脳みそを使わず、口だけで喋っているような人間なのに…。


「元気だよきっと」

 

そうやって励ましてくれたが、今にも泣き出しそうな声だ。


「そんなしんみりするなよ」夏帆が言った。


それでもやっぱり、みんないつもより目が濡れている。


 そう、昔この交差点で事故が起こった。居眠り運転のトラックが歩道に突っ込み、2人の高校生が死んでしまった事故だ。


 そこにいたのは、春香と悠斗だった。こいつらは俺の幼馴染で親友だった。

即死だったらしい。


俺は、その日は1人で帰っていたから、良く言えば巻き込まれなかった。


 だが、死んだと聞いたときは、アクムを見ているみたいだった。こんなユメは覚めくれと、心から願った。  


 そんな願いも虚しく、ユメではなかった。


いや、この世界自体が夢でできているのかもしれな。そんな哀れな考えができるほど、この交差点は俺にとって十分すぎる恐怖が詰まっている。


「さあ、学校に行こう」陽太が気持ちをもう入れ替えていた。


「そうだね、そろそろ行かないと、最後の日に遅刻することになっちう」


 ここから学校まで、歩いて行った。


卒業式、俺にとってはもう人生最後のイベントだ。俺は大学には行かずに、就職する。


 (大学に行ってみたいな)そう思いながら卒業式を受けた。


しかし、俺には卒業式で唯一嫌いなことがある。


そう、俺みたいな表に普段出ないような人間が嫌いなもの、それは、卒業証書授与だ。これは小学校の頃から嫌いだった。


順番が回ってきた。


             「夢木 護」


             「はい。」


 自分の名前が呼ばれて返事するのは嫌いだ。どんな顔と声で返事をしたらいいのかわからないから。


それと、どうしても自分の名前が好きになれないからだ。


 卒業式が終わった。やっと帰れる。俺は送別会には呼ばれていない。けれど仮に呼ばれたとしても、行くことができないからだ。


 なので、俺の学園生活はもう終わった。4月からは、社会人だ。やっぱり少し【ワクワク】するような、しないような気がする。


 なぜか、心配という気持ちは俺にはない。


              なぜだろう……。


まあ、緊張してもすぐになれるだろう。だからきっと大丈夫だ。


           (きっと僕なら出来る)


 



             そんな気がした。


 


 



 

 


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