トランプ関税は誰のためにもならない。トランプ大統領自身のためにも

カイ 壬

第1話 トランプ関税はアメリカ製品の競争力を削ぐ悪手

 アメリカ合衆国のドナルド・トランプ大統領は、一律関税10%に各国個別の輸入品に追加関税を課しています。

 実はこれ、悪手以外のなにものでもないのです。


 なぜ悪手なのか。


 それは製品の改善がなされないまま、粗悪なアメリカ製品を海外に売りつけようとしているからです。

 粗悪品を進んで買いたがる海外消費者はいません。

 もちろんアメリカ消費者も粗悪品を買いたい人なんていません。


 アメリカの産業を保護したい場合、本来なら、


「関税ゼロでも、世界中が欲しがる製品を作る」


 のが政治の役割です。

 粗悪品を売りつけようとすることではありません。


 なぜ日本車やドイツ車が世界中で売れるのか。

 高い金額を払ってもいいと思える、魅力的な自動車を作っているからです。

 対してアメリカ車はどの国も買いたがらない。アメリカ国民すら買いたがらない。魅力のない粗悪品という位置づけ。

 これでは海外で売れるはずもありません。


 AppleがiPodで復活したのも、消費者が欲しがる製品を作ったから国内外から大量の受注を得たのです。スティーブ・ジョブズ氏がAppleを立て直せたのも、正しい商売をしたからです。



 またトランプ大統領が行なっているのはディールつまり取引ではありません。

 恫喝つまり脅しです。

 相手に恐怖を抱かせて、自分の言いなりに仕立てようとする。

 ジャイアニズムの最たるものでしょう。


 本来の製品改善を怠り、粗悪品を海外にも自国民にも売りつけようとする。

 そんな馬鹿げたことをしているのがトランプ大統領なのです。



 トランプ関税は一時的に連邦政府の歳入を増やしました。

 しかし、現在は高関税を輸出業者と輸入業者が吸収しているからインフレーションに直面していないだけです。

 輸出業者は堪えきれなくなったら輸出価格を上げて財務の適正化を図ります。そうなると輸入業者はコストを吸収しきれなくなって破綻します。そうなったら高関税はアメリカ国民に直接襲いかかるのです。

 そのとき、トランプ大統領を支持する者はいなくなるでしょう。

 次の中間選挙までもたない可能性が高いのです。


 これにより、アメリカの相場は大荒れになります。

 

 今はアメリカの自滅待ちという状況です。

 いつアメリカ国民がトランプ関税の本当の意味に気づくのか。

 単なる恫喝外交をアメリカ国民がよしとするのか。


 アメリカ国民のリテラシーの問題が大きいのです。




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