鍵、開けといたよ

夜11時すぎ。仕事帰りの俺は、彼女からのLINEに気づいた。


「今どこ? そろそろ着く?」

「寒いから鍵、開けといたよ」


今日は彼女の家に泊まる予定だった。


「ありがとう、今マンションの前。これから上がるね」

そう送って、オートロックを通過してエレベーターに乗る。


彼女の部屋の前に着いて、ノブに手をかけた。

――本当に鍵は開いていた。


部屋の中は暗くて静かで、彼女の姿は見えない。

電気もテレビもついていない。


「……ただいま」


声をかけても返事はなかった。


リビングに入って電気をつけようとした瞬間、背後で玄関のドアが開いた。


「……あれ? 来るの早かったんだね!」


そこには、買い物袋を持った彼女が立っていた。







解説(意味がわかると怖いポイント)

• 彼女から「鍵、開けといたよ」とLINEが来ていたが、実際には彼女は外出していた。

• 鍵を開けたのは彼女本人ではない。

• にもかかわらず、彼女の部屋のドアはすでに開いていた。

• 主人公が部屋に入った時点で――「何者か」がすでに部屋の中にいる。

• 電気もついていなかった=誰かが“隠れている”可能性。

• しかも、その侵入者が“彼女のスマホを使ってLINEを送っていた”とすれば、

 すでにスマホを盗られていた、または彼女本人が狙われている可能性もある。

• 主人公も彼女も、すでに侵入者と同じ空間にいる。

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