4SEZN #2 空白の3年間
@Emu4sezn
第1話 目覚め
「………ッ、ここは?(頭が痛くて、体が重いな)」
目が覚めるとベットの上にいた。
「あの!誰かいますか!?」
返事が無い、手には何かボタンの様な物を握らされていた。
「押してみるか…」
そのボタンを押すと数分後に、白鳥先生が部屋に入って来た。
「天宮くん、体調は大丈夫?」
「ええ、はい」
「ここに来る前の記憶はあるかな?」
「………確か僕は、大量失血で意識を失ったんですよね、あの…アレから何日経ちましたか?」
「十日間よ」
「十日間も!?そんなに寝てたんですか?」
「はい、あなたは出血性ショックにより生と死の狭間を行き来していました。それに脳挫傷が重なって、十日間の間ずっと昏睡状態でした。よくそんな状態で戦い続けれましたね」
頭がまだボートしており、話の内容が入って来ない。
「でも、あなたが生きているのは奇跡です、河野さんに感謝をしないといけませんね、彼女が居なければあなたはあの世逝きでしたから」
「は、はぁ(また河野さんに助けられたな、今度お礼をしないと)」
「ソレともう一つ」
白鳥先生の声色が変わった。
「なんですか?」
「雨宮 誠についてです」
「………すみません、殺してしまいました、どんな処分でも受け入れます」
少しの沈黙が流れる。
「その件については大丈夫です」
「え?」
「あの男は政府の要人を23名も斬り殺してます。生きて捕らえた所で、死刑は免れないでしょう。それより問題があるのは彼があなたを狙ったことです」
「…?、どういうことですか?」
「あの日は多くの団員が現地に向かっていました、でも、ピンポイントであなたの事を見つけ、あなたの居るヘリを墜落させた、あなたの位置情報がバレている、つまり……内通者が居ます」
「そうですか……」
「まぁ、この件はコチラで対処します、天宮くんは傷がまだ引っ付いて無いから、後1週間ほど入院して、筋力も衰えてると思われるので、リハビリもしてもらいます」
そう言って白鳥先生は部屋から出て行った。
「内通者…か(一体誰が?いや、そんな事より体を治すことに専念しよう)」
数時間後…
テレビをぼーと眺めていると、突然部屋の扉が開いた。
「お!永夢、目を覚ましたか」
「元晴、お久〜」
「軽いな、体調大丈夫か?」
「ああ、問題ないよ、強いて言えば頭痛がするぐらいかな?」
「そうか、なら良かった。で、例の話、話してくれるよな?」
「例の話……?」
必死に昔の記憶を辿る。
「何だ、お前、頭ぶつけて記憶まで飛ばしたか?」
「んー…あっ、アレか!僕の空白の3年間か」
「そうだよ。でっ、今から話してくれよ」
「話すと長くなるから、僕が退院してから、飯でも食いながらゆっくり喋るよ」
「分かった、じゃあ、そん時に青木も呼ぶわ、早く体治せよ」
「おう、じゃあまたな」
「またな」
そう言って元晴は病室から出て行った。
数日後……
「傷の治りが速いわね、もう完治してるわ」
「マジですか?じゃあもう…」
「退院していいわよ」
「よっしゃー!(これで、マズイ飯を食べなくて済むぞ!※白鳥先生は飯マズです)」
早急に身支度を整え、病院を出て、電話をかけた。
「もしもし、元晴?僕さ、今日退院したんだけど、僕家で飯でも食わない?」
「お、いいね、食いに行くよ」
「じゃあ今から2時間後の、午後5時でお願い」
「了解」
電話を終え、スーパーで買い出しをして、家に帰る。こんな何気ない日常が、とても久しぶりに感じた。
「よっと、ただいま」
さっと料理を用意し、元晴を待つ。
「おっと、忘れてた」
棚からインスタントコーヒーを出し、カップにお湯を注ぎ、玄関の写真の前に置く。
「雪さん、今日、あなたの……」
ピンッポーン
家のチャイムが鳴った。
「あっ、来たみたいだ、また後でね」
ガチャ
「おー、永夢久しぶり!ちょっと痩せたか?」
「ハハッ、そうかもな。さぁ、上がって」
後ろには青木の姿もあった。
「青木も来たのか、いらっしゃい」
「お邪魔します」
「なぁ、永夢?」
「ん?どうした?」
元晴が玄関に飾ってある写真を指さす。
「この女性は誰なんだ?」
「この人は僕の師匠だよ」
「ふーん、どんな?」
「今からご飯を食べながら、話すじゃないか」
床に胡座をかき、食卓を囲む。
「始まりは………」
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