琥珀色の夢

昼月キオリ

琥珀色の夢



食べ歩きスポットの通り道にべっこう飴を売っている小さなお店があった。

腰の曲がった白髪のおばあちゃんがポツンと立っている。


「琥珀色の夢いかがですか?」


と声を掛けるが皆んなは無視して通り過ぎる。


私は喉が乾燥していて飴を買いたかった。

ちょうどいいかも。

こういう巡り合わせって大事にしたい。


べっこう飴、密かに好きだし。


私はお店の前まで行き、一袋購入した。


「ありがとうねぇ」とおばあちゃん。


何だかそれだけでほっこりする。


「このべっこう飴はね、きっと夢を叶えてくれるからね」


なるほど、それで琥珀色の夢か。


「ありがとうございます」


私はお礼を言うとほっこり気分のまま歩き出した。


 

帰り際にくじ引きがあり、

何となくやってみたくなった私は引いてみることにした。

一回百円だし。

外れてもトイレットペーパーが一ロールもらえるらしい。

何よりパッケージがペンギンで可愛い!


グルグルとくじ引きを回す。


カランカラン!!

「おめでとうございます!一等はホテルのチケット二名様分です!」


「え、えー!?あ、ありがとうございます・・・」


つい先日、母と良いホテルに一度は泊まってみたいねぇなんて話していたばかりだった。


私はすぐに母に電話をしてホテルに泊まろうと言った。

母はとても嬉しそうにしていた。


後日、私は母とホテルを予約し、無事に泊まることができた。

海が見えるとっておきのホテルに。

バッグにはべっこう飴を忍ばせて。

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