ご飯の実食!
お米が炊けたあと、僕とレオナはあの試作型炊飯器にさらに何かあるのではと思いながら離れて様子をうかがっていた。
すると……。
『蒸らしが終わりました』
と言うセリフが炊飯器から聞こえ僕とレオナは三度驚く。
「は……ハルト……いいみたいだぞ……?」
「う……うん……、行ってみるよ……」
僕は息を呑み、顔を強張らせながら炊飯器へとゆっくりと近付く……。
『さあ、そろそろ蒸らしが終わった頃ですね。炊けたお米、ご飯をシャモジを使って底のほうからからしっかりと混ぜましょう』
「うわぁぁぁぁぁ……っ!?」
「き……きゃあぁぁぁぁ……っ!?」
突然僕のMPから聞こえてきたシェイラの声に驚いた僕は思わずレオナへと抱きつくと、レオナも驚いたのか再び僕たちは抱き合っていた。
「び……びっくりした……!シェイラの動画の声か……」
「お……驚かせるなハルト……!寿命が縮まった気がしたぞ……!」
「ご……ゴメン……」
僕はレオナから離れると改めて炊飯器へと近付く……。
も……もうこれ以上何も起きないでくれよ……?
心の中で祈りながら炊飯器の前へと辿り着く。
「蓋……開けるよ……?」
「あ……ああ……」
僕は息を呑んで炊飯器の蓋を開けた……。
「こ……これは……!」
「ど……どうしたハルト……っ!?」
「これは……凄い……」
「ハルト……!何がすごいんだ……っ!?」
炊飯器の蓋を開けると、そこには一粒一粒立ったつやつやのお米……。
そして、蒸気と共に香ってくる美味しそうな匂い……。
シャモジと言うもので混ぜればいいんだよね……?
僕は炊飯器の横に付いてあるそれらしきものを手に取るとご飯を混ぜると、その度に底から蒸気が立ち込め、さらに美味しそうな匂いが僕の鼻をくすぐる。
すると、食べたことが無いはずなのに口の中が涎で一杯になってくる。
「んく……」
僕は口の中の涎を飲み込むと、シャモジでご飯を少しすくうと手で掴み口へと運ぶ。
「ハルト……どうだ……?」
僕がご飯を口に入れると、リィナを抱きかかえたレオナが僕の直ぐ傍へとやって来た。
「……おいしい」
ホカホカで……ほんのり甘みがあって……。
なんで言い表わせばいいのか分からないけど、ただ一言……おいしい……それ以外の言葉が出なかった。
そして僕の目からは知らず知らずのうちに涙が一筋流れ落ちる……。
「ハルト……そんなにおいしいのか……?」
「うん……!おいしい……っ!おいしいよこれ……っ!レオナも食べてみなよっ!」
僕は食器棚からお皿を取り出すとご飯を入れてレオナへと手渡す。
「では……食べるぞ……?」
そしてレオナも手掴みではあるけど、ご飯を口へと入れる。
「ど……どう……?」
「本当だ……こんなに美味しいもの……食べたことがない……」
レオナも余程美味しかったのか目から涙が流れていた。
本当に美味しいものを食べると言葉を失うと言うけど、これはまさにそうだった。
『炊きたてのご飯って本当に美味しいんですよね。美味しいご飯はおかずが無くてもそれだけで食べれちゃうんですよ!』
今の僕たちの心境を表してか、MPからシェイラの声が聞こえてくる。
しかし、こんな美味しいもの僕たちだけで食べるわけにはいかない、リィナにも食べさせてあげたい……!
でも……赤ちゃんにご飯ってあげてもがいいのかなぁ……。
『ご飯を小さなお子様に食べさせる際には、ご飯をお湯で柔らかくしてお粥にするか、野菜などを入れて味を調える雑炊という方法もあります。これでしたら小さなお子様でも安心して食べさせてあげることが出来ますよ。では、ついでですのでこの炊きたてご飯を使ってお粥と雑炊の作り方をお教えしますね』
「レオナ……!僕リィナのために雑炊を作るよ!」
「ああ!そうだなっ!それならリィナも食べれるっ!なら私は野菜を小さく切ろうっ!」
僕とレオナはキッチンに並んで立ち、シェイラの動画を見ながら雑炊を作り、リィナへと食べさせるとリィナはよほど美味しかったのか終始ご機嫌だった。
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