仲間との再会

 ーハルトー



「ハルト、今回の戦果だ!」


 レオナが特売から戻ってくると肉に魚、卵に牛乳など様々な食材をなぜか背負式のカゴに入れて戻ってきた。


 ……なんでカゴ?


 僕はカゴのことを聞きたいのだけど、それよりも褒めてオーラを滲み出していた。


 例えるなら、子犬が尻尾がちぎれるくらい振って褒めて褒めてとおねだりしているようにも見える。


 実際、レオナは頭を撫でて欲しそうに目を輝かせていた。


「凄いじゃないか、レオナ!よくあの中に入ってこれだけのもの買えたねっ!」


「えへへ、いや~、それほどでも」


 僕がレオナの頭をナデナデすると、レオナは嬉しそうに目を細めていた。


「ぱ~ぱ、うぅあぅ~、うぶぅ~」


 すると、リィナが僕の腕へと必死に手を伸ばして何かを訴えかけていた。


「リィナとうしたの?リィナも頭撫でて欲しいの?」


「な~、ぱ~ぱ、あぅあぅあ~」


「はいはい、リィナも良い子だね」


 僕はリィナの頭を撫でると、リィナもまた嬉しそうに目を細めていた。


「むう~、私がハルトに頭をナデナデしてもらっていたのに……」


 僕の手がレオナの頭からリィナの頭へと移った事にレオナは不満げな表情を見せていた。


 なんというか……、自分の子供相手に大人気ないな……。


「ま~ま」


 リィナは僕に頭を撫でられながら手をレオナへと伸ばす。


「どうしたんだ、リィナ?」


 レオナはリィナの前にしゃがむと、リィナの小さな手がレオナの頭を撫でる。


「リィナはレオナにご褒美をあげたかったみたいだね」


「そうだみたいだな。仕方ない、リィナのナデナデに免じてハルトの手はリィナに譲るとしよう。その代わり……ハルトには"別のご褒美"を期待しているぞ?」


 レオナはそう言うと指を自身の顎へと当てながら上目遣いで僕を見ていた。


「う……うん、分かったよ。ところで……」


 この指を顎へと当てるポーズ……。

 実はこれ夜のお誘いのポーズだったりする。


 どうやらご褒美に今日可愛がって欲しいらしい。


「な~に道の往来でイチャついとるんや?」


 そして、僕はレオナが背負っている背負式のカゴについて聞こうとすると前の方から声が聞こえてきたので、僕は顔を上げると、そこには銀髪のオールバックの髪型をしたハープドワーフの男性冒険者と、茶色いショートヘアーをしたクマの半獣人の男性冒険者、二人の男性の姿があった。


「ロガンさんとリース。どうして2人がここに?」


 ロガン・ロックハート……ハープドワーフの男性で、僕とレオナ、それにエリサの幼馴染で、僕たちにとっては一つ年上の兄のような存在。


 面倒見のいい性格で、ロガンさんがいなければ僕とレオナは結婚どころか、すれ違ったままだった事だろう。


 もう一人のクマの半獣人の男性がリース・グレイウッド。

 僕の学生時代の友人で、エリサと同じく変わった喋り方をする。 

 ちなみに先程話しかけてきたのはこのリースの方。


 悪い奴ではないんだけど、なぜかモテないらしく今も独り身だとか……。


 僕はロガンさんとリース、あと一人エリサとは元々同じパーティーのメンバーとして活躍していたんだけど、リィナが産まれてから僕は冒険者を休業している。


「なんや、ワイらがおったらアカンのか、ハルト?」


「そう言う訳じゃないけど……」


「俺たちはたまたま通りかかっただけだ。それにしても、随分父親が板についてきた感じだな。冒険者にはまだ戻らないのか?」


「はい、まだリィナも小さいですし、それにレオナの事も支えて行きたいので……」


「そうか……。レオナ、ハルトと結婚出来て本当に良かったな」


「ああ、これも全てはロガンのお陰だ。ロガンがいなければ私はこの幸せを掴むことは出来なかっただろう」


 レオナはそう言い少し照れながら僕の顔を見ると、僕も思わず顔が少し赤くなってしまう。


「け……!ハルトいい加減爆ぜろや!」


「ま、何にしろ夫婦仲良くな。また今度機会があれば一緒に食事でもしたいところだな、じゃあな」


 2人はそれだけを言い残すと何処かへと歩き去ったのだった。

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