スーパーひょんひょん

百壁ネロ

「カレーってなんであんなに美味いんだろうね」

　縞下さんが急に言い始めた。

　黙祷の真っ最中だったので、教室はなんとなく空気が張り詰めた。昨日、木村くんが車か電車かどっちかに轢かれて死んだので、その黙祷だった。

「辛さがいいんだろうね。辛いは美味いだねマジで」

　縞下さんが言う。教室は静かにざわつき始める。

「辛いは美味いだねマジで」

　縞下さんはもう一回言う。この頃にはもう誰も黙祷をしておらず、「おいしいよねカレー」「食べたいねカレー」とみんなわいわい喋っていた。

「黙祷終わり」

　先生が言う。こうして黙祷は終わった。その日の昼休みの食堂では別に誰もカレーを食べなかった。

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