第15話 8日目(日中)

 夜が明けて明るくなったので、周囲を一応警戒してから結界の魔道具を止めて、3本の杖と結界の魔道具を回収し、小屋に引っ込む。そしてすぐに丈夫なナイフを持って板もどきに対して構えた。夜と同じく一覧が出る。

 メモしておいた資材の種類と数を指定して、昨日見たのと同じ図面が光で表示されたところで一覧をスクロール。杖と結界の魔道具を探して、タップして選択した。


「よし、選べたし組み込めた。で、浮遊する魔道具と何かを動かす魔道具と連携するのは想定通り。ここは繋いで魔力を共有して問題ないし、増幅の影響を受けても楽になるだけで困る事は無い」


 ここで一応、空にした樽や一応修理した木箱を選んでみると……収納が増えた。というか収納ついて無かったのかこの船。いやまぁ、収納を取り付けても取り出せなければ意味がないと思って夜に組んでみた時は使わなかったんだけど。そのまま乗せても入れ物としては使えるし。

 ただあの漂着船から、それなりの数の樽や箱は手に入れている。それに板もどきを釘無しで組み立てる練習に使って作った箱でも「収納アイテム」判定はされたから、こっちだけは組み込んで収納をつけておこう。持ち出せる物資の量は多い方が良い。だって何日かかるか分からないし、何と遭遇するかも分からないから。

 出来れば船を壊されても、替えのきかない素材が無事ならもう一度船が作れるぐらいの素材と魔道具を積み込んでおきたい。海の真ん中で沈んだらどうにもならないけど、他にもある島に漂着出来たらリトライ出来る位に。


「まぁここまでの殺意の高さ的に、船が沈んだら一発アウトだろうけど」


 そんな気はしているから、無理はしない。積載量を上げるよりは防御力と機動力を上げた方がいい。何よりも「壁」に辿り着いて脱出するのが最優先だ。

 という事で、3本の杖と結界の魔道具を含めた設計図のガイドをもう一度確認。うん。どの素材をどれだけ入れればどうなるかは夜の間に詰めたから、問題ないな。という事で、丈夫なナイフで板もどきに、光のガイドをなぞるように設計図を刻み込んでいく。

 設計図が出来上がったら早速組み立てだ。結界の魔道具はもう一度起動させるし、アバター情報を盗む為の海賊は自滅してたけど、もう今日で丸1週間を過ぎた。他の仮想現実にアクセスできなくなってるんだから、そろそろ真面目に色々まずい事になりつつある。


「設計図があったらパーツごとのガイド出るの助かるなぁ……」


 という事で、まずは小屋の近くで船のパーツを組み立てる。最終組み立てはたぶん砂浜でする事になるだろう。危険生物がいなければだけど。まぁ危険生物がいた所で、よほどの大物でない限りは例の水竜の牙から作った剣で倒せるだろう。それで倒せなかったら……素直に、結局行かなかった島が見える、低い崖になってる所で組み立てるか。

 そう言えば列にしたいかだは結局岩場から低い崖になってるところを繋げるようにして放置してるな。あれをそのまま足場に使えばいいのか。使えばいいな。よし、あっちにしよう。

 そう決めながら、レベルが上がって強化されたステータス補正で、どんどん船のパーツを作っていく。出来れば運んだ先で組み立てるだけにしておきたい。何故なら組み立ては島の外、結界の魔道具の効果範囲の外でやらざるを得ないし、そもそも結界の魔道具と3本の杖を船に組み込むんだから、その時は一旦効果を止めなきゃいけないのだ。


「だからスピード勝負なんだよな。周りの海に居るやつらに察知される前に、組み立て終わって出航できるかどうかっていう」


 だから結界の魔道具を3本の杖で増幅して、非常に強度の高い結界にこの島が包まれている間に、その内部で船のパーツを全て作り上げてしまってから、一気に組み立ててそのまま出航するのが理想となる。

 ……でもそうか、列になってるいかだを回収しようと思うと、船に結構な重量物を乗せるか、解体の時間がかかるんだな。一応板の塊だから素材としては持って行きたいんだけど、どうしようか。

 でも設計図を作るときに確認した限り、板も板もどきもだいぶ余っている。思ったより1人で動かせる船って言うのは小さかったし、たぶんあれこれ色々な危険生物の素材を突っ込んだから、木材の比率が下がったって言うのもあると思う。


「……まぁ、仕方ないな。列にしたいかだは諦めよう。岩場の足場もあのままでいいか。どうせ次に嵐が来たら吹き飛んで粉々になるだろうし」


 世界樹の枝があれば最悪保存食と真水は無くてもいいけど、修理した魔道具は乗せていきたいし、水竜の素材だって置いていくのは勿体なさすぎる。船はいくら防御力を上げた所で壊れるものだし修理用の素材も必要。……乗せる物が多いな?

 今ある真水は置いてい……全部を持っていく必要は無いな。浄水器(魔道具)があるから。入れ物は必要だからある程度は持っていくけど。小屋を解体している時間も多分無い。危険生物の素材も、まぁ大部分を置いていく事になる。船の修理に使うやつを厳選しておかないと。

 その辺の取捨選択とリスト化は、船のパーツを作り終わってからだな。この作業は夜になっても出来るから、一気に作り切ってしまいたいところだ。……とはいえこれを何度も往復して運ぶのは大変だな。台車も増やすか。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る