第22話
「リアム! そろそろ手を離して差し上げて!」
「でも、スカーレット」
「私は大丈夫だから。国際問題になるでしょう。こんなでも王子殿下なのよ」
私が止めると、リアムは納得のいかなそうな顔をしながらも、手を離してくれた。
手を離されたダリウス様は、腕を擦りながら「こんなでもとは何だ」とこちらを睨んでいる。
リアムはダリウス様を冷たい目で見遣ると言った。
「ダリウス殿下。今後スカーレットに近づくのはおやめください。もしもまた無許可で帝城に押し入るようなことがあれば、王子殿下といえど相応の対処をさせていただきます」
「な……っ、俺は婚約者を迎えに来ただけなのだぞ!?」
「スカーレットはもうあなたの婚約者ではないと申し上げているでしょう。行こう、スカーレット。彼に付き合っている暇はない」
「え、ええ……」
ダリウス様はまだ諦めていないようで、私を捕まえようと手を伸ばして来たけれど、護衛達に囲まれ逆にあっさり捕まっていた。
彼は一体どうやってここまで来たのだろう。正当な手順を踏んできたのではないことは確かだ。
私は今後ダリウス様がどうなっていくのか、困惑しながらも考えた。
ルシア聖国の王家の大きな役割は国を囲う結界を維持すること。
特に国王となる者は、誰よりも光魔法をうまく使いこなして結界を守らなければならない。
しかし、基本的に高い魔力を持つ王族の中にも魔力の低い者や光魔法が苦手な者はいて、そういう場合、より強力な光魔法を使える者が婚約者に選ばれて補佐することになっていた。
ダリウス様と私の場合も、このケースの当てはまる。
私は後ろで喚いているダリウス様の声を聞きながら、これから先の未来に思いを馳せた。
***
月日はあっという間に過ぎて、私がアウロラ帝国に来てから半年が経とうとしていた。
現在の私は、帝都にあるお屋敷で暮らしている。
「スカーレット、ようやく会えたね!」
「大げさね。ようやくって一昨日も会ったばかりじゃない」
「大げさなんかじゃないよ。丸一日スカーレットに会えなかったんだ。ああ、今日も君は本当に綺麗だ」
私が花束を持ってやって来たリアムに呆れながら言葉を返すと、リアムは迷いなくそう言って抱きしめてきた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。