2.ようやく消えてくれた *ダリウス視点
第8話
ようやくあのいまいましいスカーレットと縁を切ることが出来た。
結界のある森まで向かう馬車の中、俺は自由を噛みしめていた。
隣ではノーラが窓の外をそわそわと眺めている。くるくる変わる表情が愛らしい。鉄仮面のスカーレットとは大違いだ。
ノーラは目を輝かせてこちらに話しかけてきた。
「ダリウス様! ここが結界のある森なのですね! すごく素敵なところですわ! ああ、でも、うまくできるか緊張してしまいますわ……!」
ノーラ両手を口に当てながら、期待と不安の入り混じった顔で言う。そんな表情もとても可憐だった。
やはりスカーレットからノーラに婚約者を代えて良かったと心から思う。
長年婚約者としてやって来たが、スカーレットのそばにいるのはもううんざりだった。
幼い頃、父である国王陛下の命で俺はスカーレットと婚約した。スカーレットは長い赤い髪にきつそうな紫の目をした、不愛想で感じの悪い女だ。
外見は悪くないが、どうにもその態度と性格が癪に障る。
いつもいつも俺の言うことに反発し、ついてくるなと言っても勝手に遠征についてきて、手柄を横歩取りしようとするのだ。
何が起きても表情一つ変えないところも生意気で、うっとうしくて仕方なかった。
そんなスカーレットに、先日とうとう婚約破棄をつきつけてやった。
婚約を取りやめると言ったときのスカーレットの呆然とした顔。今思い出しても笑いが込み上げてくる。
婚約破棄以降、あれだけ生意気だったスカーレットは、どこかぼんやりした様子で過ごしていた。俺の婚約者でいられなくなったことがよほどショックだったのだろう。
スカーレットは長期休暇の間、母親の実家の領地で過ごすらしいと、従者からの報告で知った。きっと聖都にいづらくなったのだ。
王子である俺に生意気な態度ばかりとってきたことを少しは反省すればいいと、スカーレットの沈みきった顔を想像して笑った。
そんなことを考えながら馬車に揺られていると、目的地に到着した。
緊張した面持ちのノーラに手を差しだして馬車から降ろさせる。
遠征先には先に魔術師団が向かって俺たちの到着を待つことになっていた。
魔術師団員の大半は光魔法を使えないので、結界自体に魔法をかけることは出来ない。
しかし、万が一魔獣が近づいて来た時に護衛をしたり、俺の魔力が切れたときに回復させたりすることが必要なので、いつも遠征に同行することになっていた。
森の入り口付近にローブを着た魔術師団の集団が見えたので、ノーラとそちらへ向かう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。