第16話 くらえ!これがオレ達の合体技だ!!!

 やぁ!オレは鳴理金次郎!




「行くぜ相棒!」


「おうよ!」


 オレは銀三郎と合体技を放った!その名も………





「ウルトラダブルスピンアタックッッッッ!!!」


 説明しよう!

 ウルトラダブルスピンアタックとは、オレと銀三郎が高速スピンしてサイクロンを起こし!そのまま相手に突撃する技である!オレは右回り、銀三郎が左回りでお互いがお互いの回転速度を上げる!回転速度が上がれば威力も上げる!めちゃくちゃ強い技だ!


 オレ達は田宮センセーが放った電撃に激突!そして……!









「え……。私の…イナズマスタンスの……最大出力が!」



 センセーの必殺技を破った!そのままオレ達は田宮センセーに突撃する!


「「いっけぇぇぇぇぇええええッッッッッ!!!」」


「きゃあああ!!」


 オレ達の合体技は田宮センセーに直撃!!そして倒したのだった!!!



「やったな銀三郎!」


「おう相棒!」


 オレ達は勝利のハイタッチをした!















「う、ううぅ…………」


 私は……一体……。


「お、起きたぜ相棒」


 ここは……家?……リビングっぽいな………。


「うっす。調子はどうっすか田宮センセー」


「鳴理君………」


 あ……、思い出した……。私は確か鳴理君とお友達にやられて………


「しかし良かったのかよ相棒。お前の家に妹ちゃんと田宮先生連れて来ちゃって……」


「いいよ全然。他にこの二人匿う所ねぇし」


なるほど、ここは鳴理君の家か……。


「さてと、これからどうすっかなぁ〜」


「警察に突き出した方がいいんじゃねいかよっ!」


「いや、山本秋美の件があんからな。警察に突き出して、『コイツ前にもこんな事に巻き込まれていたな。もしかして、前回や今回の事件もコイツが暗躍していたんしゃないか?』みたいな事があんかもしんないし、あんま関わり合いになりたくねえんだよ」


「ハハハッ。んな事になるわけねぇよ相棒!前回も今回も、どう見たって被害者な訳だしさっ!」


「万が一の話だよ。それに、田宮センセーにはお世話になっている節もあるし、霧子も家族だからな。……身内を犯罪者にしたくねぇだけだ」


「お兄ちゃん………」


「ま、霧子は助けに来てくれた訳だしな。………………だからってロケランを住宅街でぶっ放して、人殺そうとしてたけどな………」


「うん……ごめんなさい………」


 鳴理君は霧子ちゃんを睨みつけている。どうやら霧子ちゃんはこってりと絞られたようだ。


「本当にもうこんな事しないか?」


「うん、もうしないよお兄ちゃん……」


 妹の霧子ちゃんが鳴理君に謝っている。


「その辺にしてやれよ相棒。もう散々叱ってたじゃねぇかよ……」


「銀三郎……お前殺されそうになってたんだぞ?いいのかよ………」


「いいっていいって!妹ちゃんにも謝って貰ったし、お前も許してやれよ!」


「……………………ハァ。分かった。もう許してやるよ!」


 鳴理君はニッコリと笑ってそう言う。


「お、お兄ちゃん!!」


「うお!抱きつくなって!」


「しない!もうしないよお兄ちゃん!もう人を殺そうとなんてしないよ!」


「それが当たり前だ」


 そんな素っ気ない事を言いながらも、鳴理君は泣いている霧子ちゃんの頭を撫でる。




「さてと、そろそろ田宮センセーの話に戻っか」


「そうだな相棒」


 鳴理君は霧子ちゃんを離し、私の方へと向く。とても真剣な表情だ。そして今にも怒りそうな表情でもある。


「田宮センセー………、オレはアンタを許さねぇ……」


「…………………」


 当たり前だ。私はあんなに酷いことをした。言った。

 鳴理君を監禁していた時はこれが"正解、私が正しい、鳴理君は私が護る"。これだけを思っていた。しかし、倒されて気絶したからだろうか、今は罪悪感でいっぱいだ。

 ああ、私は酷い事をしたんた。そんな事を今更理解した。もう……私は彼を愛せる立場ではない。いや、きっと最初から愛せる立場ではなかったのだ。


 鳴理君は怒った表情を顔に出している。これはきっと許して貰えるわけ………







「だけど、この事を約束してくれるなら、オレはアンタを許してもいいと思ってるっす……」


「…………え?」


「簡単な約束だ………………もうこれからこの先、誰も監禁せず、誰も殺さないでくれっす」


「な、な………」


「ん?なんすか?」


「なんで………許してくれるの?なんで?私は君に………君の周りの人達に迷惑をかけて……」


「あー、なんつうか、その………」


 鳴理君は頭を掻きながら、恥ずかしそうに話す。








「……また、『ボッコボコな花嫁』見たいんすよ……そして今度はその事でセンセーと語り合いたいってゆうか………」


「……………………ッ」


「だからお願いっす。もう監禁や人を殺そうとしないでくれ、当たり前の事を守ってくれっす。それが約束の条件っす」


 ああ、なんて、なんて優しく、強い子なんだろう。


「はい……守ります……一生守ります……!」


 目から熱いものが溢れる。


「………お願いします!!!」


 鳴理君は頭を下げる。不思議な状況だ。こっちが悪いのに、被害者の鳴理君が頭を下げているなんて………


「へぇー、『ボッコボコな花嫁』ってそんな面白えのかよ。今度図書室で見てみようか」


「おうおうみろ見ろ銀三郎!ぜってぇハマるぜ!銅四郎や鉄五郎にも見せてぇなー!」


「鳴理君………」


 この子、友達と話す時はこんなに素敵な笑顔になるんだ…………。


「鳴理君、ごめんなさい!監禁した事も、妹ちゃんやお友達を殺そうとした事も、君の周りの人を害悪だなんて言った事も!ほんとに!本当にごめんなさい!!」


「ハハッ!もういいっすって田宮センセー!そんなに反省してんだし、約束守ってくれるんならっ!それよりもさ田宮センセー!」


 彼はそんな素敵な笑顔を、私にも向けてそう言ってくれた。私の目から溢れ出て来る熱いものは止まらない。




 ああ、私は、私は………


「何かな……鳴理君……!」


 本当、本当に……








「今度ダチコー連れて図書室行っていいっすか!『ボッコボコな花嫁』、ダチコーにも見せたいんすよ!」


「うん、構わないよ………!」



 鳴理君を好きになって良かったな。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る