普通ってなんだろう。異常ってなんだろう。若者たちの青春の描写の中に、痛みと切なさ、そして夏の匂いを感じさせる鮮やかな一作。息遣いが聞こえるような、静寂の中で繰り広げられるすべての音が耳に届くような素敵な時間でした。
読み終わってから、タイトルの「青:異常」の意味がわかりました。他者からの偏見、それ二人で抗う「私」と「ナツ」。十代特有の人間関係と心の描写に、痛みのような感情を伴う生々しさがありました。途中の「熱帯夜に絡み取られる」という一文も素敵です。