美しい脚
虹色
第1話
脚の美しさはつい最近多くの人が気にするようになった。明治初期まで脚を出すことは、はしたない、そう言われてきたからだ。
私は友達に美しい脚だね、とよく言われた。
確かに人より脚は白く、痣もすぐに消える体質なのであまりない。私は嬉しかった。
だけど、ある日気づいた。
自分の脚は美しくない、と。
私は剣道部に所属している。仲の良い友達も皆剣道部だ。
剣道は道着に袴を来て行う。袴なので脚はあまり見えない。脚の美しさとはあまり関係がない。けれど違った。
ある日試合をした。
私は珍しく手が震えるほど緊張していた。
思うように動けず、結果は引き分けだった。
悔しかった。本当はもっと動いて勝てたはず。なぜか動けなかった。動きが遅かった。
先生は
「足を意識しなさい、狙いは良いのだから」
そう言われた。
剣道は多くの人が腕や手が大切だと思うが、腕や手と同じぐらい足が大切なのだ。
悔しい思いで面を取り座る。
なぜかまだ緊張しており、手が震える。
(なんでまだ緊張しているんだろう)
その時だった。
武道場に拍手の嵐が起こる。
「面あり!」
友達が面を取った。
他のスポーツでいう1点取った、ということだ。
(すごい)
私が感動した理由は友達が点を取ったからではない。
取った後、背筋を伸ばし堂々ともう一本(1点)取ろうとしているからである。
そして踵をあげ、剣道特有の歩き、摺り足をしながら相手をみつめている。
そして足を地面に踏み込む。
バンッ!という音とともに前に進む。
ものすごい速度であった。
スピードが速いあまり袴がめくれる。
筋肉全体を使い思いっきり脚を使う脚にみえた。
これが本当の美しい脚、そう思えた。
痣があっても日焼けが凄くても、あの構えと足の動きができれば、美しい。
私は自分の足の動きとの違いをみて思う。
私も美しい脚になりたい、と。
美しい脚 虹色 @kurukuru08217
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