『俺達のグレートなキャンプ60 地縛霊と恋バナして成仏させる!』
海山純平
第60話 キャンプ場の地縛霊と恋バナして成仏させる!
俺達のグレートなキャンプ60 キャンプ場の地縛霊(三人を)と恋バナして成仏させる
第一章 またしても突飛なキャンプ計画
「今回のグレートなキャンプは!」
石川が両手を大きく広げて叫んだ。夕暮れ時のキャンプ場に、彼の声が響く。
「地縛霊と恋バナして成仏させる!」
「はああああああ!?」
富山が椅子から転げ落ちそうになった。千葉は相変わらず目をキラキラさせている。
「いや、石川、それは流石に…」
「富山、心配すんな!俺には計画がある!」
石川は胸を張った。彼の後ろで、他のキャンパーたちがチラチラとこちらを見ている。
「そもそも地縛霊なんているの?」千葉が首を傾げた。
「いるんだよ!キャンプ場の管理人のおじさんが言ってた!昔、この場所で三人の若者が恋愛のもつれで…」
「ちょっと待って!」富山が手をバタバタと振った。「恋愛のもつれって何よ!?」
「三角関係だったらしい。男二人、女一人の。それで結局誰も結ばれずに…」
「成仏できずにこの場所に留まってるって訳か!」千葉が手を叩いた。「面白そう!」
「面白くない!絶対面白くない!」富山が叫んだ。
第二章 地縛霊探索開始
夜が更けて、キャンプ場は静寂に包まれた。石川は懐中電灯を持って立ち上がった。
「よし、地縛霊探索開始だ!」
「待って待って!」富山が慌てて立ち上がった。「本当にやるの!?」
「やるに決まってるだろ!俺達のモットーは『奇抜でグレートなキャンプ』だ!」
「僕のモットーは『どんなキャンプも一緒にやれば楽しくなる!』だからね!」千葉も立ち上がった。
「二人とも頭おかしいよ…」富山がため息をついた。
三人は懐中電灯を持ってキャンプ場を歩き回った。他のキャンパーたちのテントの明かりが遠くに見える。
「おーい、地縛霊さーん!」石川が大声で呼んだ。
「声でかすぎ!」富山が慌てて石川の口を塞いだ。
「あ、あそこ!」千葉が指差した。
木々の間に、ぼんやりとした光が三つ、揺らめいている。
「うわあああああ!」富山が石川の背中に隠れた。
「おお!本当にいた!」石川が興奮した。
光は次第に人の形を取った。若い男性二人と女性一人。みんな古い服装をしている。
「あの…」女性の霊が気まずそうに言った。「私たち、そんなに大声で呼ばれるとは思わなくて…」
「あ、すみません!」千葉が頭を下げた。「僕たち、あなた方を成仏させてあげたくて!」
「成仏?」男性の霊の一人が首を傾げた。「僕たち、別にこの世に未練があるわけじゃ…」
「恋愛の未練があるんでしょ!?」石川が身を乗り出した。
三人の霊が顔を見合わせた。
「あー…それは…」
第三章 意外な真実
「実は…」女性の霊が恥ずかしそうに言った。「私たち、恋愛のもつれで死んだんじゃないんです」
「え?」三人が声を揃えた。
「僕たち、キャンプ仲間だったんですよ」一人目の男性の霊が説明した。「で、キャンプ場で肝試しをしていて、崖から落ちて…」
「あ、それで死んじゃったのか」二人目の男性の霊が苦笑いした。「で、なぜか地縛霊になっちゃって」
「じゃあ恋愛の未練は?」富山が恐る恐る聞いた。
「それが問題なんです!」女性の霊が叫んだ。「私、この二人のどちらかに告白しようと思ってたんですけど、死んじゃったから言えずじまいで!」
「僕も彼女に告白しようと思ってたんです!」一人目の男性の霊が手を上げた。
「僕もです!」二人目の男性の霊も手を上げた。
「あー…」石川が頭を掻いた。「これは確かに恋愛の未練だ」
「でも、どうやって解決するの?」千葉が聞いた。
「それが分からないから、ずっとここにいるんです!」三人の霊が声を揃えた。
第四章 恋バナタイム開始
「よし!」石川が手を叩いた。「こういう時は恋バナだ!」
「恋バナって何よ!」富山が叫んだ。
「恋愛の話をして、みんなで盛り上がるんだよ!そうすれば自然に解決策が見つかる!」
「本当に?」霊の女性が期待の眼差しを向けた。
「任せろ!俺は恋バナのプロだ!」
「いつからよ!」富山がツッコんだ。
石川は大きな円を描いて座るように指示した。霊たちも浮かんだまま輪になった。
「まずは自己紹介から!霊のお姉さん、お名前は?」
「あ、私は花子です」
「僕は太郎です」
「僕は次郎です」
「分かりやすい名前だね!」千葉が感心した。
「で、花子さん、どっちの人が好きなの?」石川が聞いた。
「それが…」花子が困った顔をした。「どっちも好きなんです!」
「えええええ!」富山が叫んだ。「それじゃあ余計こじれるじゃない!」
「太郎くんは優しくて、いつも私のことを気遣ってくれるし」花子が頬を赤らめた。
「次郎くんは面白くて、いつも私を笑わせてくれるし」
「うーん、これは難しいな」石川が顎に手を当てた。
第五章 他のキャンパーも巻き込み事件
「何やってるんですか、そこ!」
突然、隣のテントからキャンパーが出てきた。中年の男性だ。
「あ、すみません!ちょっと恋バナを…」千葉が慌てて説明した。
「恋バナ?深夜に?」
「実は地縛霊の恋愛相談を…」
「地縛霊!?」
中年男性が懐中電灯を向けると、三人の霊がはっきりと見えた。
「うわああああああ!」
「あー、見えちゃった」太郎が苦笑いした。
「すみません、驚かせて」花子が頭を下げた。
「幽霊が謝ってる!」中年男性が混乱した。
「大丈夫です、悪い霊じゃないので!」石川が手を振った。
「何が大丈夫なのよ!」富山が叫んだ。
騒ぎを聞いて、他のキャンパーたちもテントから出てきた。家族連れ、カップル、一人キャンパー…
「何事ですか?」
「あ、実は地縛霊の恋愛相談をしていまして…」石川が説明した。
「恋愛相談?」若いカップルが興味深そうに聞いた。
「そうなんです!この三人、恋愛のもつれで成仏できなくて」
「面白そう!」女性の方が目を輝かせた。
「ちょっと、危険じゃない?」彼氏が心配そうに言った。
「大丈夫だよ!見て、普通に話してる!」
気がつくと、キャンプ場のみんなが集まって大きな輪になっていた。
第六章 みんなで恋愛相談
「じゃあ、みんなで恋愛相談しましょう!」石川が提案した。
「え、私たちも?」若いカップルが驚いた。
「当然だ!恋バナは多い方が盛り上がる!」
「でも、私たち付き合ってるから…」
「付き合ってても恋愛の悩みはあるでしょ!」
「確かに…最近マンネリ気味で…」女性がぽつりと言った。
「おお!それは良いテーマだ!」石川が手を叩いた。
「中年男性のあなたは?」
「え、僕?僕は…離婚して一人なんです」
「おお!再婚願望は?」
「それは…」
「家族連れのお父さんは?」
「私はもう結婚してるから…でも最近妻とギクシャクしてて…」
「なるほど!夫婦の危機だな!」
「石川、あんた何でも恋愛相談に持ち込むのね」富山が呆れた。
「恋愛は人生の大事なテーマだからな!」
霊の三人は、人間たちの恋愛話を興味深そうに聞いていた。
第七章 恋愛相談大会
「じゃあ、順番に相談していこう!」石川が司会を始めた。
「まずは花子さんから!」
「はい…」花子が恥ずかしそうに始めた。「私、太郎くんも次郎くんも好きなんです。でも一人しか選べないし…」
「それって、本当に恋愛感情なの?」若いカップルの女性が聞いた。
「え?」
「友達として好きなのか、恋人として好きなのか」
「それは…」花子が考え込んだ。
「僕から言わせてもらうと」太郎が口を開いた。「僕は花子のことが好きだけど、次郎も親友だから、彼が幸せになって欲しいんです」
「僕もです」次郎が頷いた。「花子が幸せになれるなら、太郎と一緒でも構いません」
「あー、これは」中年男性が頷いた。「本当の愛だね」
「どういうこと?」千葉が聞いた。
「自分の幸せより、相手の幸せを考えるのが本当の愛だよ」
「へえ〜」みんなが感心した。
「でも、それじゃあ解決しないじゃない」富山が指摘した。
「そうですね…」花子が困った。
「じゃあ、逆に聞くけど」家族連れのお母さんが口を開いた。「花子さんは、本当に恋人が欲しいの?」
「え?」
「私、結婚してるからわかるけど、恋人や夫婦って大変よ。喧嘩もするし、我慢もしなきゃいけない。でも、友達なら気楽でしょ?」
「確かに…」花子が考え込んだ。
第八章 意外な解決策
「あ!」花子が突然叫んだ。「私、分かりました!」
「何が?」みんなが注目した。
「私、太郎くんも次郎くんも好きだけど、恋人として好きなんじゃなくて、大切な友達として好きなんです!」
「おお!」石川が手を叩いた。
「僕も!」太郎が言った。「花子のことは大切だけど、友達として大切なんです!」
「僕もです!」次郎も頷いた。
「じゃあ、三人とも恋愛の未練じゃなくて」千葉が言った。
「友情の未練だったんですね!」富山が驚いた。
「そうです!」花子が明るく笑った。「私たち、告白しようと思ってたけど、本当は今の友達関係がずっと続いて欲しかったんです!」
「それで成仏できるの?」中年男性が聞いた。
「多分…」太郎が言いかけた時、三人の身体が光り始めた。
「あ、光ってる!」みんなが驚いた。
「ありがとうございました!」花子が頭を下げた。「おかげで気持ちが整理できました!」
「僕たちも!」太郎と次郎が笑顔で手を振った。
「みんな、幸せになってくださいね!」
光がだんだん強くなって、三人の霊は消えていった。
第九章 みんなで恋愛相談の続き
「成仏した…」みんなが見上げた。
「やったね!」石川が飛び上がった。
「本当に成仏させちゃった…」富山が呆然とした。
「でも、まだ恋愛相談は終わってないよ!」千葉が言った。
「そうだね!」若いカップルの女性が言った。「私たち、マンネリの相談まだしてない!」
「じゃあ続けましょう!」石川が張り切った。
「え、まだやるの?」富山が驚いた。
「当然だ!せっかくみんな集まったんだから!」
「確かに…」中年男性が頷いた。「僕も再婚のこと相談したい」
「私も夫婦関係のこと」家族連れのお母さんが言った。
「じゃあ、みんなで恋愛相談大会だ!」
こうして、深夜のキャンプ場で恋愛相談大会が始まった。
第十章 恋愛相談大会の結果
「マンネリ解消には、新しいことを一緒にやるのがいいよ」お母さんがアドバイスした。
「キャンプとか?」女性が聞いた。
「そうそう!今日みたいに普段できない体験をするの」
「なるほど!」カップルが納得した。
「再婚については」家族連れのお父さんが言った。「焦らないことだね。自然に出会いがあるよ」
「そうですね」中年男性が頷いた。
「夫婦関係は」一人キャンパーのおじさんが言った。「僕も昔離婚したから分かるけど、話し合いが大事だよ」
「確かに…最近話してなかったな」お母さんが反省した。
「よし!」石川が立ち上がった。「恋愛相談大会、大成功だ!」
「みんなハッピーになったね!」千葉が笑顔で言った。
「まさか地縛霊の成仏から始まって、みんなの恋愛相談になるなんて…」富山が苦笑いした。
「それが石川のグレートなキャンプよ」
「いやー、今回も盛り上がったな!」石川が満足そうに言った。
「でも、もう夜中の2時よ」富山が時計を見た。
「あ、本当だ。みんな、お疲れ様でした!」
「ありがとうございました!」みんなが頭を下げた。
「また今度、一緒にキャンプしましょう!」
「今度は普通のキャンプで…」富山が小さく呟いた。
エピローグ 翌朝
翌朝、みんなでコーヒーを飲みながら昨夜のことを話していた。
「あれ、本当に霊だったのかな?」中年男性が首を傾げた。
「幻覚だったんじゃない?」カップルの男性が言った。
「でも、みんな同じものを見たよ」女性が反論した。
「まあ、本当でも幻覚でも」お母さんが言った。「みんなで恋愛相談できて良かったわ」
「確かに」お父さんが頷いた。「妻と話し合ってみるよ」
「僕も自然な出会いを待ってみます」中年男性が言った。
「私たちも新しいことに挑戦してみる!」カップルが手を取り合った。
「みんな、前向きになったね!」千葉が嬉しそうに言った。
「これが石川のグレートなキャンプの効果だ!」石川が胸を張った。
「偶然よ、偶然!」富山が慌てて言った。
「でも、結果オーライだよ」
「確かに…」富山が苦笑いした。
「よし!次のキャンプはもっとグレートなことを考えよう!」石川が立ち上がった。
「もう次のこと考えてるの!?」富山が驚いた。
「当然だ!俺達のモットーは『奇抜でグレートなキャンプ』だからな!」
「僕のモットーは『どんなキャンプも一緒にやれば楽しくなる!』だよ!」千葉が笑顔で言った。
「はいはい…」富山がため息をついた。「でも、次はもうちょっと普通のにして」
「普通じゃグレートじゃない!」
「そうだよ、富山さん!」
「二人とも…」
こうして、俺達のグレートなキャンプ60は、地縛霊の成仏という予想外の成功を収めて幕を閉じた。次回はどんなグレートなキャンプが待っているのか、三人にも分からない。
でも、きっと今回みたいに、みんなで楽しい時間を過ごせるに違いない。
それが、俺達のグレートなキャンプなのだから。
〜完〜
『俺達のグレートなキャンプ60 地縛霊と恋バナして成仏させる!』 海山純平 @umiyama117
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