うさぎさんカクヨムサーバーへ行く

アガタ

カクヨムサーバー探訪記

 広いインターネットの森のはずれに、小さな丘がありました。

 その丘の上に、一本の不思議な大樹がぽつんと立っていました。

 その名は「カクヨム」。

 古くてごつごつした木の幹には、ふしぎなうろがあり、そこには小さな扉がついていました。


 その扉をくぐるとそこは、たくさんの動物たちが小さな机に向かって、せっせと物語を書いている、にぎやかな村だったのでした。


 このディスコード郡カクヨム村では、みんながお話を書くことが大好きで、日々、ペンを走らせたり、キーボードを叩いたりしていました。


 そんなカクヨム村に、ある日、ふわふわの耳を持つ小さな灰色のうさぎさんがやってきました。


 名前はもにゃちゃん。


 もにゃちゃんは、これまでずっと一人でお話を書いていましたが、ちょっぴり寂しくなってきていました。「誰かと一緒にお話を書けたら、もっと楽しいだろうな」そう思っていたのです。


 カクヨム村には、たくさんの個性豊かな仲間たちがいました。

 いつもにこにこ、のんびり屋さんのパンダさん。するどい意見をビシッと伝えてくれる、頭のいいキツネさん。おしゃべりが大好きで、いつもみんなを笑わせるリスさん。ちょっぴり内気だけど、心に響く美しい文章を書くモグラさん。

 そして、時には怒ってぷんすかするけれど、じつはとても仲間思いのクマさん。


 みんな、時には意見がぶつかったり、ケンカをしたりすることもありましたが、根っこではみんなお話を書くことが大好きな仲間たちでした。


 もにゃちゃんは、村のはずれにあるボイスチャットの草原に、自分だけのかわいいお庭を作りました。

 そこは、みんながホッと一息つける場所。

 もにゃちゃんは、訪れた動物たちのおしゃべりを聞いたり、悩みを優しく聞いてあげたり、時には誰かの書いた作品を読んで「すごいね!」と、大きな拍手をおくったりしました。


 季節は巡り、寒い冬がやってきました。もにゃちゃんは、ボイスチャットの草原にあずまやを建て、そこに、とっておきのこたつを出しました。そして、みんなに「おいで、おいで」と声をかけました。

 こたつの中では、ストーブがぽこぽこと優しい音を立てています。


 みんなはこたつに潜り込み、肩を寄せ合いました。誰かが書いたばかりのお話を朗読してくれたり、温かいお茶をいれて、分け合ったおやつを食べながら、笑い合ったりしました。

 こたつの温かさのように、みんなの心もポカポカになりました。


 けれど、カクヨム村はいつも楽しいことばかりではありませんでした。


 お話がなかなか書けなくて、悩んでしまう日。

 誰かの言葉に、胸がチクチクと痛む日。もにゃちゃんも、何度も何度も「どうして、私はここにいるんだろう」と、考え込んでしまうことがありました。


 でも、そんな時でも、こたつの中で誰かの楽しそうな笑い声が聞こえると、もにゃちゃんの心の中から、そっと温かい言葉がこぼれました。


「……やっぱり、こうして、みんなとおしゃべりできるのが、うれしいんだな」


 もにゃちゃんは今日も、こたつの中でお茶をいれながら、みんなと楽しそうにおしゃべりをしています。そして、そのおしゃべりの中から、新しい物語の種が、次々と芽吹いていきます。


 カクヨムの木は、今日も静かに、サラサラと葉を揺らしています。

 優しい木漏れ日が、物語を紡ぐ動物たちと、もにゃちゃんを温かく見守っているのでした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

うさぎさんカクヨムサーバーへ行く アガタ @agtagt

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ