プロンプトから生まれた物語
津和野 圭
第1話:空白の推薦
あるとき、国の教育制度が変わった。
「推薦枠の最適化」をうたう新制度では、全国の高校三年生全員が、学業・部活・ボランティアの記録をAIに提出し、自動的に評価されることになった。成績や表彰歴、性格傾向までもが数値化され、進学や就職に最もふさわしい道が割り振られるのだ。
推薦先は一つではない。第一志望から第五十志望まで、AIが勝手に埋めてくれる。
提出期限までに必要なデータを入力すれば、あとは何もしなくていい。試験も面接も、志望理由書もいらない。学校はこれを「公平」と呼んだ。
当然のように、大人たちはこの制度を歓迎した。努力の記録が公正に評価され、コネや運に左右されない進路が開かれる。進路指導の先生も負担が減るし、生徒の家庭も、塾にお金をかけずに済む。
一方、やや懐疑的な者もいた。だが、制度開始から三年もすれば、そうした声は聞こえなくなった。成功例ばかりが取り上げられ、不満は「適応できなかった個人の問題」とされるようになったからだ。
ある年、小さな高校の三年生に、ユウという男子がいた。
目立った特技はなく、成績も中の下。部活も途中でやめていた。だが、明るく、よく人を笑わせた。先生たちは口をそろえて「社会に出たら案外うまくやるタイプ」と言った。
推薦制度に乗り気ではなかったが、提出期限が迫っていたため、必要最低限のデータだけ入力し、あとは空欄のまま提出した。
入力完了の画面には、「情報が不十分なため、AIが適切な推薦先を選定できません」と表示された。
クラスメイトたちは、工学部や看護学科、鉄道会社など、さまざまな推薦先を与えられていた。通知が届いた日、誰もがそれなりに満足そうだった。
ユウだけが、なにも表示されないまま画面を閉じた。
「まぁ、そりゃそうだよな」
それだけ言って、彼はその話を終わらせた。
卒業後、彼はしばらく近所の工事現場でアルバイトをした。次に、中古パソコンを修理して売る仕事を始めた。半年後には、自分でオンラインショップを立ち上げ、翌年には小さな事務所を借りた。
いつの間にか、彼は「推薦制度を使わなかった最初の成功例」として取り上げられるようになった。
「制度の抜け穴が、逆にチャンスを生んだんですね」
インタビューに、彼はただ笑っていた。
やがて制度は改訂された。すべての生徒が、AIの推薦を「辞退」する選択肢を持つようになったのだ。
だが、それを選ぶ生徒はいなかった。
空欄のまま提出することが、どれだけ不安か、皆がよく知っていたからだ。
そして、数年後。
AIはついに、空欄すら必要としなくなった。
もはや人は、データを「提出する」必要さえなかった。すべての行動は、日常から自動的に吸い上げられ、記録され、推薦に活用された。入力も確認も、意思表示も要らない。
ユウのような例は、もう二度と現れなかった。
どの道も最適化され、どの人生も配分されていった。空白の余地は、制度のどこにも残されなかった。
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この小説は、ChatGPTが一度で生成したものを、そのまま掲載しています。
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