最初に、タグを見ないで読んでいただけませんか。
日常の、些細でありふれているからこそ多くの読者の琴線に触れる事柄が綴られて、短く切られる文章に詩的センスを感じます。
しかし、数段落読んだところから気づき始めます。これは自由詩ではなく定型詩であると。そして、この定形には日本の文芸において特別な地位を占める名がつけられていると。
定型詩は、ここまで自らの姿を変えることができます。なんと自由な語りなのか。
詠じた人の本業は作家。小説の文体を導入して、先人が気づかなかった逸脱を達成しました。内容以上に記述法などに大きな成果があります。それは、裏返って、言語を拡張する詩作の試みそのものなのです。作家であるが故に成し遂げた詩作です。
見事です。