始祖の一族




 ズードリア大陸ーーその大陸には様々な種族と精霊たちが住んでいた。


 その中でも一際異彩を放つ『始祖の一族』と呼ばれる種族は、

 神に最も近い存在と恐れられ、各種族長たちはひっそりと語り継ぐ。


 

 ある日空間の捩れによって、突然大陸に最凶龍種ヒドラが現れた。

 ヒドラは九つの首から炎、氷、毒を吐きながら大陸を蹂躙し始める。


 その時ーー黒いマントの男が颯爽と現れた。


 「【エターナル・ブレイス】!!」

 

 "ボォ───ォッ༅༄༅༅༄༅༅༄༅༅༄༅༅༄༅༅༄༅!!!”  


 巨大な紫炎の柱が天を衝き、ヒドラの首を焼き尽くすーー!


 そしてーー首元に齧り付いた。


「あまり、うまいもんじゃねぇなッ!」


 そう言いながら、口周りを緑の鮮血で汚していた。


 

 応戦していた人種ヒューマンの王、

 各亜人種の王、精霊王すら跪くーー。

 

 その誰もが抗えぬ圧倒的な【覇気】と魔力マナ

 そして彼らが持つ特殊スキルに、ただ平伏するしかなかった。


 彼らの特殊スキルーー『吸血』。

 それは『眷属化』の鍵でもあった。


 それは”血を与えた者”を眷属とした。

 さらにその力を奪い”姿”を変えることすら可能とする。


 まさにーー【神】に等しい力だった。


 

 その種族の特徴は銀の頭髪に青白い肌、何者でも恐怖に陥れる鋭き紅眼。

 そしてーーたまに見せるニヒルな笑い。

 その口元には八重歯ならぬ鋭い犬歯が、唇の端から覗く。


 偉丈夫と言える筋肉質だが細身なその身体は、

 うっすらとした燻銀の光が包み込むように纏われていた。


 その男、『始祖の一族』の開祖ーーもっさりとしたウェーブの銀髪を掻きながら、 『D・ヴァン・パパイア』は低い威圧の声を落とす。


 「共存こそがこの世界の美、余は争いは好まんよ」


 黒いマントを翻したーーその瞬間。

 彼はヒドラに姿を変え、二つの月の狭間に消えていった。




 それから数百年後、この一族に異変が起きた。

 その事件は大陸中を巻き込む大事件に繋がり、

 運命の歯車がガシャリと噛み合う瞬間でもあったーー。

 


https://kakuyomu.jp/users/kaede-san/news/16818622176727813121

(*始祖の一族のイラスト)

 

現『始祖の一族』ーー王爵ロイ

https://kakuyomu.jp/users/kaede-san/news/822139842144521156

 (オブリオ・ロイ・トランザニヤ)

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