第3話 ケンのいへん8

発表会はっぴょうかいでは一番いちばん

よかったものしか

ひょうしょう

されないのさ。

だから二等にとう三等さんとう

だれだったのかは、

からない」


 するとイヴが、

出来立できたてのおかゆを

はこびながらいました。


にすることないわよ。

今回こんかい一等いっとうではなかった

かもしれないけれど、

きっと二等にとう

ケンちゃんだったのよ。

そして次回じかいは、

かならずあなたが一等いっとうになるわ。

だってケンちゃん、

あなたは素晴すばらしい

才能さいのうぬしだもの」


「……ありがとう。

だけど結局けっきょくのところ、

問題もんだい一等いっとうとか二等にとうとか、

そうところ

ではないのだ。


問題もんだいなのは、

ぼくと吉右衛門きちえもんくんには

まれながらに

才能さいのうがある。

それも、

それはひどくおおきくて、

どんなに時間じかん

かけたとしても、

うめられないような

だとうことなのだ。


うらないなんて……

そんなこと

かんがえてもみなかった!」


 ケンはくるしそうに

最後さいご言葉ことばをさけぶと、

あたまをかかえて

しまいました。


ですからかれつぎ言葉ことば

はなせるようになるまで、

みんなはすこ

たなければ

なりませんでした。


「そう、問題もんだいは、

このにかがやかしい

才能さいのうって

まれたものがいる。


けれどもそれは、

ぼくではなくて、

吉右衛門きちえもんくんだったと

うことなのだ。


かれはへいぼんな

ものではない、

天才てんさいなのだ! 


どんな努力どりょくも、

けっしていつけない

能力のうりょくのちがいが

あるなんて、

ぼくはいままで

らなかった」


 ケンの右目みぎめから、

おおつぶのなみだがひとつ、

こぼれちました。


みんなはかお

見合みあわせました。



読んでいただき、ありがとうございます。

次回の掲載は2025年11月21日です。

〇注意:作者がコメント欄を読むこと、

またいかなる場合もコメントへ

返信することはございません。

読者の方のコミュニティーとして

節度ある使用へのご理解に感謝いたします。

〇注意:この作品は 『小説家になろう』、

『カクヨム』、『Novel days』に

同時掲載しております。

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