第3話 ケンのいへん4

 ポチはすぐさまかれ

もとにかけよりました。


そしてあたままでかけられて

いた毛布もうふをはがすと、

そこにケンのかお

あらわれたではありませんか。


「ケンちゃん、

いったいどうしたの。

顔中かおじゅうこんなにあかくして。

まるできはらした

みたいだよ」


 するとケンは、

しゃがれた弱々よわよわしい

こえこたえました。


「そうさ、だってぼくは

いていたのだもの。

あさも、よるもずっと」


 しろ、クロ、茶色ちゃいろ

じりって、まるで

ワルツの音楽おんがくのような

ケンのなみも、

やみのなかではいろ

はっきりとせず、

ただくろっぽく

えるばかりでした。


いていたなんて、

それはまたどうして? 

発表会はっぴょうかい出発しゅっぱつするは、

あんなにわくわくと

たのしそうだったじゃないか」


 するとケンは「ううっ」と

うなって、ポチから

かおをそむけてしまいました。


発表会はっぴょうかいはなしはしないでくれ。

もう、かんがえたくもないのだから」


発表会はっぴょうかいで、

いったいなにがあったの。

まさかかえっててから、

ずっとそうしている

わけではないよね」


 ケンはちからなくをふりました。


「そのまさかさ。

なにまずべもせず、

あさよるかもわすれて、

ねているかもきて

いるのかもからず、

ただこうしてここにいるのだ」


 ケンの言葉ことばくと、

ポチはがりました。


「なんだって。

とんでもないよ。

ケンちゃんはすっかり

病気びょうきにかかって

しまっているんだ。


大変たいへんだ! 

こうしてはいられないよ。

すぐにみんなを

よんでなくちゃ」



読んでいただき、ありがとうございます。

次回の掲載は2025年11月12日です。

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またいかなる場合もコメントへ

返信することはございません。

読者の方のコミュニティーとして

節度ある使用へのご理解に感謝いたします。

〇注意:この作品は 『小説家になろう』、

『カクヨム』、『Novel days』に

同時掲載しております。

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