イヴが興味（きょうみ）しんしんに

ざっしをのぞきこみました。

そこには若（わか）いボルゾイ犬（けん）が

写（うつ）っていました。

彼女（かのじょ）の毛（け）は真（ま）っ白（しろ）で

なめらかで、

まるでシルクのようです。

すらりとした長身（ちょうしん）で、

なんとも上品（じょうひん）な顔立（かおだ）ちを

していました。

ざっしの中（なか）で、

彼女（かのじょ）はごうかな部屋（へや）や、

高級（こうきゅう）レストランや

色（いろ）あざやかなバラの、

みずみずしくさき

みだれる庭（にわ）で、

まばゆいばかりの

ドレスを着（き）ていました。

「とってもきれいな方（かた）でしょう。

シンジュさんって言（い）ってね。

貴族（きぞく）のむすめさんなんですって。

彼女（かのじょ）は多（おお）くの女性（じょせい）のあこがれで、

ファッションしでも

特集（とくしゅう）記事（きじ）が組（く）まれているのよ」

　オーティスも、

イヴのとなりで

ざっしをのぞきました。

「あれ、

この犬（いぬ）の書（か）いた本（ほん）を、

ミルクは持（も）って

いなかったっけ？　

前（まえ）にこの犬（いぬ）を見（み）たこと

があるような気（き）がするけど」

　オーティスが言（い）うと、

ミルクはにっこり笑（わら）って、

本（ほん）だなから一（いっ）さつの

本（ほん）を取（と）り出（だ）しました。

それはシンジュの

ゆうがなくらしぶりが

書（か）かれた本（ほん）で、

中（なか）には美（うつ）しくとられた

シンジュの写真（しゃしん）が、

たくさんおさめられていました。

「どう、素敵（すてき）でしょう。

彼女（かのじょ）って何（なに）を着（き）ても、

とてもよく似合（にあ）うわよね」

　ミルクは本（ほん）のページを

めくって見（み）せながら、

ほうっと息をつきました。

「この写真（しゃしん）なんて

特（とく）に素敵（すてき）じゃない？　

彼女（かのじょ）がつけている、

このシンプルな

ダイヤモンドの耳（みみ）かざりが、

私（わたし）ほしくてたまらないの。

けど、こんな高（たか）い物（もの）は、

とても手（て）に入（はい）らないわね」

　すると、となりで

見（み）ていたイヴが言（い）いました。

読んでいただき、ありがとうございます。

次回の掲載は２０２５年１０月１日です。

〇注意：作者がコメント欄を読むこと、

またいかなる場合もコメントへ

返信することはございません。

読者の方のコミュニティーとして

節度ある使用へのご理解に感謝いたします。

〇注意：この作品は　『小説家になろう』、

『カクヨム』、『Novel days』に

同時掲載しております。