第27章「こえ、こどく」

昼下がりの教室。

ことねは、放課後の誰もいない音楽室にひとり座っていた。


手元にはノート。

「歌詞ノート」と書かれたページの隅には、滲んだペン跡。

まるで、何かを噛み殺したような字だった。


ことね(心の声):


「あの頃、“声”を出したら終わりだった。

だから、出せなかった。

でも…今なら、言えるかもしれない。歌にすれば。」


ドアが開いた。


「やっぱここかー。いると思った!」


彩葉が、笑いながら入ってくる。

その手には、コンビニのコーヒーとドーナツ。


ことねは、小さく笑った。


「ありがとう。…甘いの、欲しかった」


「でしょー? ことねの『孤独』ってテーマ、ガチすぎて胃にくるもん」


「…やっぱり重いかな」


「ううん、いいと思う。

だって、ことねの“こえ”でしょ? 誰がなんて言おうと、それがことねなんだよ」


Silent Riot新曲制作:「こえ、こどく」

🎧トラック:ピアノとローファイビートのメランコリックミックス

🎤ジャンル:Emo Rap × Lo-fi × Spoken Words風


ことねが歌詞を書きながら、口ずさむ。

その声は、震えていた。でも、止まらなかった。


🎤リリック(ことね Verse):

『声を出せば 壊れると思ってた

 教室(ばしょ)に響く その一言で

 終わるって 思ってた』


『でも 黙っていても 壊れた

 静かだった だから見えなかった

 でも今なら 言葉にできる』


『こえ、こどく

 逃げたわけじゃない

 守っただけ――わたしを』


彩葉は、ことねのリリックを読みながら目を伏せた。


「…あんた、やっぱすげぇや」


「え?」


「“言えなかった”じゃなくて、“守った”って…

その一言だけで、今のあんた全部伝わるよ」


芽依が静かに入ってきて、ラップトップを開く。


「……じゃ、録ろっか。デモ音源。

 これ、絶対にライブでやるべきだと思う」


「うん…お願い」


📍Silent Riotスタジオ(町田駅近くのカラオケボックス)


ことねの“こえ”が、はじめて音になる。

それは震えていて、柔らかくて、でも確かに刺さる。


💬クロスオーバー要素:


📍同時間、町田駅前の通り。

東雲りな(『モケ女』)が猫丸とすれ違う。


りな:「…なんか、今、すごい音、聞こえたような?」


猫丸:「ああ。言葉が、音になる瞬間の“振動”だ。気づいたかい?」


りな:「うん。なんか、胸の奥がきゅってなった」


猫丸は、微笑む。


「表現者ってやつはな、孤独を武器に変えられる。

 ……あの子も、そうなろうとしてる」

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